日本畜産学会報
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ニワトリの孵化期にみられる骨組織形成の特徴
河南 保幸苅田 淳
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1988 年 59 巻 4 号 p. 311-318

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抄録

孵化期における骨組織形成の特徴を明確にするため,孵卵開始12日目より孵化後7日までのニワトリひなの〓骨について,骨化の進行経過を組織学的に検索した.その結果,孵卵16日までの胚子の〓骨では,骨芽細胞は大型で多角形をなし,骨膜下において,多数の骨小柱が骨の外側に向かって突出するとともに,カルシウム沈着が活発に進行した.しかし,孵卵18日以後の胚子では,骨膜の骨芽細胞が急速に萎縮し,特に孵化期には,骨質におけるカルシウム沈着の進行が緩慢となり,骨形成が著しく衰えた.さらにこの時期の髄腔側の骨組織では,破骨細胞が増数肥大して骨吸収が急速となり,胚子期に形成された骨質が減少した.また孵化後は,骨膜内層の骨芽細胞が柱状をなして骨質表面で密集するようになり,骨膜下では骨小柱が再び突出し,カルシウム沈着の進行は骨組織の内方にまで及んでいた.そして,骨組織の内側部では,類骨層の拡大と層板状のカルシウム沈着が明瞭となり,オステオンが造られ始めた.なお,骨芽細胞と類骨層の変化について解析した結果,骨組織の内側部でみられる骨芽細胞は孵化直前には機能的に高い状態にあることが確認された.

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