日本畜産学会報
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暑熱環境下における濃厚飼料または粗飼料摂取めん羊の採食に伴う熱産生量と飼料摂取量について
Joelal ACHMADI佐野 宏明寺島 福秋
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1994 年 65 巻 3 号 p. 251-257

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抄録

本実験は,採食に伴う熱産生と飼料摂取量に対する暑熱環境と給与飼料の影響を明らかにするために行なった.6頭のめん羊を濃厚飼料区と粗飼料区の2区に分け,常温(20°C,70%RH)および高温(30°C,70% RH)環境下でそれぞれ8日間飼育した.代謝エネルギーおよび粗蛋白質の摂取量は,両飼料区で同じになるように設定した.それぞれの環境下における採食に伴う直腸温および熱産生量の変化と飼料摂取量を給飼後4時間にわたり測定した.暑熱暴露によって,めん羊の呼吸数および直腸温は有意に増加した.暑熱環境下における採食前の熱産生量は常温時のそれより有意に低かった.給与飼料の種類はこれらの測定値に影響を与えなかった.飼料摂取に伴う熱産生量の増加量は暑熱環境下で,常温時に比較して著しく低かった.給飼開始後4時間の飼料摂取量は暑熱環境下で常温時のそれより低かった.直腸温は暑熱時に常温時より高い値を維持したが,採食に伴う直腸温の上昇割合はいずれの実験区でもほぼ同じ値を示し,実験処理の影響を受けなかった.これらの結果から,暑熱時における採食に伴う直腸温の上昇抑制には飼料摂取量減少が関与しているものと推察された.また,暑熱時の採食に伴う熱生産量の増加割合の低下は,主に飼料摂取量の減少によるものと考えられた.

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