日本畜産学会報
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65 巻, 3 号
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  • 押部 明徳, 石田 貢, 安藤 貞, 押尾 秀一, 甫立 孝一
    1994 年 65 巻 3 号 p. 209-216
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃カニューレを装着した未経産,非泌乳のホルスタイン種雌牛(64ヵ月齢)3頭を用いて,n-酪酸および酢酸の第一胃内投与による,成長ホルモン(GH)およびインスリン分泌反応を検討した.2.5,10,及び20mmol/kg体重のn-酪酸あるいは酢酸および対照として生理食塩水をカニューレにより第一胃内へ投与し,投与20前分から投与後180分までの血漿n-酪酸,酢酸,GHおよびインスリン濃度を測定した.血漿n-酪酸および酢酸濃度は,すべての投与量において投与後急速に上昇した.対照の血漿GH濃度は3-10ng/mlの範囲で推移したのに対し,10および20mmol/kgのn-酪酸投与後の平均濃度は,投与前に比べて低下し(P<0.05),さらに,GH反応曲線下の面積(AUC)はn-酪酸の投与量の増加に伴って減少する傾向が認められた,一方,酢酸投与後の血漿GH濃度には顕著な変化が認められず,投与量とAUCの間にも一定の関係は認あられなかった,血漿インスリン濃度はすべての投与量のn-酪酸,並びに10および20mmol/kgの酢酸投与直後に上昇した(P<0.05).以上の結果は,第一胃内へのn-酪酸の投与によって血漿GH濃度が低く抑えられることを示唆しており,さらに,血漿n-酪酸あるいはインスリン濃度の上昇がこの抑制の一因になっている可能性を示唆している.また,第一胃内への酢酸の投与は血漿GH濃度に顕著な影響を及ぼさないにとを示している.
  • 小原 嘉昭, 元井 葭子, 菊池 文也
    1994 年 65 巻 3 号 p. 217-225
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    実験には第一胃フィステルを装着した体重500kgのホルスタイン去勢牛3頭用い,粗飼料多給(R)区,肥育用濃厚飼料10kg給与(C1)区,肥育用濃厚飼料5kg+圧ぺん大麦5kg給与(C2)区,圧ぺん大麦10kg給与(C3)区で,それぞれ3週間飼育した.C1~C3の飼料区では,60cmの長さの稲わら0.6kgを給与した.各飼料区の最終日に第一胃発酵と血液性状の変動を24時間にわたって観察した.第一胃内pHは1日2回の採食に伴って2つのピークを持つ減少パターンを示した.pHの最低値は,R区で約6,C1~C3区で約5であった.逆に総VFA濃度は,1日2回の採食に伴って2つのピークを持つ増加パターンを示した.C1~C3のVFAの変動巾は,R区のそれよりも明らかに大きかった.酢酸/プロピオン酸比は,C1,C2,C3区に於て,それぞれ3.5,2.0,2.5であった.C2,C3区に於ける第一胃アンモニアは,2回の採食に伴って2つのピークを持つ減少パターンを示した.C2,C3区の血漿尿素の変動パターンは第一胃内アンモニアと同様の傾向を示した.C1~C3区に於て,第一胃内乳酸濃度は採食後急激に上昇し,その後直ちに採食前の値に回復した.粗飼料多給区と比べて,濃厚飼料多給区に於ては,血漿グルコース,乳酸,Ht値,ヘモグロビンは増加する傾向を示し,血液pHとHCO3-は減少する傾向を示した.以上述べた結果から,ホルスタイン去勢牛の肥育末期における濃厚飼料多給時の窒素と炭水化物代謝の関連性について,第一胃内恒常性の観点から考察がなされた.
  • 古村 圭子, R. Michael. AKERS, W. E. BEAL
    1994 年 65 巻 3 号 p. 226-238
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    妊娠中期(約135日)のホルスタイン種未経産若雌牛3頭およびアンガス種未経産若雌牛3頭から得た乳腺細胞塊をコラーゲン&bull;ゲル内に包埋して培養を行った.4種類の培養処置を用いた:(A) 基礎培地はMedium 199に抗生物質,酢酸ナトリウム,glutathione, trypsin inhibitorおよびBSAを添加したもの(BM); (B) BM+10%牛胎子血清;(C) BM+insulin, estradiol-17&beta;, progesterone, hydrocortisoneおよびprolactin (BMH); (D) BMH+上皮成長因子.培養2,4,8日に3H-thymidineを各培地に添加し24時間後にゲルを回収して乳腺細胞核への取込み量(cpm&times;103/&mu;g DNA)を測定した.培養処置に対してホルスタイン種(24.3&plusmn;2.8;平均&plusmn;標準誤差)はアンガス種(11.0&plusmn;1.2)に比べ有意に高い取込みを示し,品種&times;処置間の差も有意であった(P&lt;0.05).ゲルの一部はオートラジオグラフィ標本を作成し,3H-thymidineによる標識率を求めた.血清添加培地および乳腺発育ホルモン添加培地で乳腺上皮細胞核への取込みは増加し,ホルスタイン種は高い標識率を示した.アンガス種とホルスタイン種妊娠若雌牛の乳腺細胞の増殖反応の差は明らかであり,このコラーゲン&bull;ゲル内包埋培養法はまだ解決されていない生理的メカニズムに起因する乳腺発育とその後の乳生産量の遺伝的差異を解明するために有益であると考えられる.
  • 本間 秀弥
    1994 年 65 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    イナワラ給与で,水牛のルーメン内液相回転率は,液相指標物質としてCo-HDTAを用いて測定すると牛よりも遅くなることが知られている.この種間差の生じる理由を明らかにするために実験を行なった.泌乳していない成雌水牛とホルスタイン牛の各3頭ににチモシー乾草の自由摂取量を1日8回に分けて3時間毎に給与した.Co-EDTAを経口投与後,3時間毎に8回ルーメン液を採取し,Co濃度の減少曲線からルーメン液相回転率を求め,更に,唾液流量(ルーメン液相流出量-水分摂取量)も求めた.この結果,イナワラ給与時と同様にチモシー乾草給与でも水牛のルーメン液相回転率は牛よりも遅い傾向が認められた.また,唾液流量は牛の半分の値であった.ルーメン液の無機りん酸塩,アンモニア態窒素および尿素態窒素の濃度はいずれも水牛の方が高かった.にれは水牛の唾液中のこれらの化学成分の濃度が隼よりも高いことを反映していると考えるにとができる.しかし,水牛のルーメン液の無機りん酸塩濃度は,唾液中の高濃度を考慮しても,唾液流量が牛の半分とすると,説明のつかない高すぎる値であった.この矛盾は,水牛のルーメン壁からの水分吸収率が牛よりも高いために,ルーメン内容物が濃縮されて生じると仮定すると説明できる.また,この板説を採用すると,水牛が牛よりもルーメン液相回転率が遅いことや,唾液流量が少ないことの理由は,指標物質が濃縮されたために過少に推定された見かけ上の結果であると解釈できる.更に,このルーメン内容物の濃縮は水牛のルーメン内で見られる細菌の高濃度や遅い飼料通過速度の原因であると考えられる.
  • 高橋 和昭, 小梨 茂, 秋葉 征夫, 堀口 雅昭
    1994 年 65 巻 3 号 p. 244-250
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雄ブロイラーの腹腔内脂肪蓄積に及ぼす飼料中のメチオニン(Met)含量と可欠アミノ酸添加の影響を検討した.試験1:粗タンパク質(CP)含量23%で含硫アミノ(SAA)酸含量が0.49%の基礎飼料に0,0.22,0.44または0.66%のMetをグリシン(Gly)と代替した飼料を10日齢のブロイラーに17日間自由摂取または等量給与させた.両条件下ともに,増体量はMet含量の増加にともなって増加し,飼料効率は0.44%Met区で最大となった.腹腔内脂肪量はMet含量の増加に伴って低下した.試験2:CP含量19.6%,SAA含量0.56%の飼料に0,0.37,0.59または0.74%のMetを添加した飼料とCP含量23%でSAA含量0.93%の対照飼料を7日齢のブロイラーに21日間自由摂取させた.0.56% Met添加飼料給与により,最大の成長と飼料効率,最小の腹腔内脂肪含量が得られた.しかし対照飼料と比較すると成長,飼料効率は劣り,腹腔内脂肪含量は0.56% Met添加飼料で高い傾向にあった.試験3:CP含量19.6%,SAA含量0.56%の飼料にMetを0,0.59または0.74%添加した飼料とそれぞれの飼料のCP合量が23%となるようにGlyまたはグルタミン酸(Glu)をスターチと代替する形で加えた9飼料および試験2で使用した対照飼料を7日齢のブロイラーに14日間自由摂取させた.低タンパク質飼料およびGly添加飼料におけるMet欠乏は成長,飼料効率を低下させたが,Glu添加飼料ではMet欠乏でも成長の低下はみられなかった.Glyには腹腔内脂肪含量低下作用が認められたがGluには認められなかった.
  • Joelal ACHMADI, 佐野 宏明, 寺島 福秋
    1994 年 65 巻 3 号 p. 251-257
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験は,採食に伴う熱産生と飼料摂取量に対する暑熱環境と給与飼料の影響を明らかにするために行なった.6頭のめん羊を濃厚飼料区と粗飼料区の2区に分け,常温(20°C,70%RH)および高温(30°C,70% RH)環境下でそれぞれ8日間飼育した.代謝エネルギーおよび粗蛋白質の摂取量は,両飼料区で同じになるように設定した.それぞれの環境下における採食に伴う直腸温および熱産生量の変化と飼料摂取量を給飼後4時間にわたり測定した.暑熱暴露によって,めん羊の呼吸数および直腸温は有意に増加した.暑熱環境下における採食前の熱産生量は常温時のそれより有意に低かった.給与飼料の種類はこれらの測定値に影響を与えなかった.飼料摂取に伴う熱産生量の増加量は暑熱環境下で,常温時に比較して著しく低かった.給飼開始後4時間の飼料摂取量は暑熱環境下で常温時のそれより低かった.直腸温は暑熱時に常温時より高い値を維持したが,採食に伴う直腸温の上昇割合はいずれの実験区でもほぼ同じ値を示し,実験処理の影響を受けなかった.これらの結果から,暑熱時における採食に伴う直腸温の上昇抑制には飼料摂取量減少が関与しているものと推察された.また,暑熱時の採食に伴う熱生産量の増加割合の低下は,主に飼料摂取量の減少によるものと考えられた.
  • 本間 秀弥
    1994 年 65 巻 3 号 p. 258-260
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 松井 徹, 細井 栄嗣, 矢野 秀雄, 藤原 勉, 春本 直
    1994 年 65 巻 3 号 p. 261-264
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 義之, 守屋 和幸
    1994 年 65 巻 3 号 p. 265-270
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    枝肉市場に出荷された肥育牛の記録を用いて種雄牛評価を行なう際の数学モデルに肥育農家あるい63枝肉市場の要因を取り込む必要があるか否かについて検討した.材料としては黒毛和種去勢肥育牛6,848頭(1981-1987年度)の記録を用いた.種雄牛の評価法としては母方祖父モデルのBLUP法を用い,種雄牛間の血縁関係を考慮した.1985年度までのデータを用いて,必要な母数効果をすべて取り込んだ全体モデル,それから枝肉市場の要因を除いたモデルおよび肥育農家の要因を除いたモデルにより,種雄牛評価を行なった.得られた期待後代差EPDにより選抜した後代の期待値と実現値とを比較した.その結果,枝肉市場の要因を除いてもEPDの正確度ににはほとんど影響しなかったが,肥育農家の要因を除くことはEPDの正確度を有意に(p<0.01)低下させることが明らかになった.したがって,フィールド記録に基づく種雄牛評価には肥育農家の情報が必須であると推察される.
  • 加野 浩一郎, 宮野 隆, 三宅 正史, 加藤 征史郎
    1994 年 65 巻 3 号 p. 271-276
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    <精子前培養培地あるいは受精培地へのカフェイン添加がブタ射出精子の卵子への侵入に及ぼ す影響ならびに,精子前培養の有無が精子侵入に及ぼす影響について検討した.受精培地への2mMカフェイン添加は,精子前培養培地への同量のカフェイン添加の有無にかかわりなく,無添加区と比べて媒精12時間後における精子侵入率を有意に増加させた(P<0,05).さらに,精子侵入率および精子侵入速度に対する受精培地へのカフェイン添加の効果は用量依存的であり,2~10mMカフェインは0.1~1mMカフェインに比べて精子侵入時期を早め,媒精4~6時間後における侵入率を著しく増加させた.一方,精子前培養の有無で媒精後の精子侵入時期に差がみられ,精子前培養によって媒精4時間後における侵入率は有意に増加した(P<0.05).以上の結果から,ブタ射出精子を用いた体外受精系において,カフェインは受精培地において精子の卵子への侵入を促進すること,また精子前培養によって精子侵入時期が早まることが示された.
  • 柏村 文郎, 古村 圭子, 新出 陽三
    1994 年 65 巻 3 号 p. 277-283
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    行動に伴い変化する膣温と熱発生量との関係を明らかにする目的で,妊娠中のホルスタイン種若雌牛4頭の起立,横臥,採食,反芻および飲水行動と膣温および熱発生量を連続5日間記録し,相互関係を検討した.起立および横臥開始直後の熱発生量は短時間(12-13分)の増加を示した後一定となった.起立および横臥開始前後15分間における熱発生量の変化量はそれぞれ2.14(P<0.05)および-0.29kJ/kg0.75hであったが,膣温は起立開始後に低下し,横臥開始後に上昇した.起立や横臥動作に伴う膣温変化は1日の時間帯により異なり,1800-2400hの間で大きかった.採食開始後,熱発生量は約10分間で急激に増加したが,膣温は約30分間かけて穏やかに上昇した.反芻開始前後15分間で熱発生量は約2.6kJ/kg0.75h上昇したが,膣温は横臥位反芻および起立位反芻ともに上昇はわずかであった.飲水後,熱発生量は短時間の減少を示し,膣温の低下には約20分を,その回復には50分を要した.今回の実験結果は,牛の体温調節には幅があり,その範囲内では行動が熱放散または熱発生量を変化させ,牛の膣温をより複雑に変動させていることを示唆している.
  • 砂原 正明, 宝山 大喜, 岡村 浩
    1994 年 65 巻 3 号 p. 284-288
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    皮革工場から排出される排水中の総汚濁負荷量の削減を目的に,いわゆる免疫現象(immu- nization)を利用して毛に安定性,抵抗性を付与してから脱毛する方法の豚革製造への適用を検討した. この脱毛法はSIROLIME脱毛法を元にし,次の4段階から成る.第1段階で氷硫化ナトリウムを原皮 に浸透させ,第2段階で毛の表面に付着する水硫化ナトリウムを次亜塩素酸塩で酸化•除去し毛を保護 する.第3段階で水酸化カルシウムを加え皮中の水硫化ナトリウムを活性化し毛根を緩ませ,毛に免疫 性を付与させる.第4段階で硫化ナトリウムと水酸化カルシウムにより脱毛して毛を回収する.ミキ サー型ドラムで200枚の塩蔵豚皮を処理し,ロータリ一スクリーニングマシンで毛を回収した.その結 果は以下の通りである.1) アルカリにより免疫性を付与された毛は繊維状の形態を保ち効率よく回収さ れた.その重量は原皮重量に対して約5%となった.得られた革には残毛は全く見られなかった.脱毛 工程の浴量は原皮重量に対して200%,ドラム回転数は2r.p.m.が適当であった.2) 準備作業における 各工程の排液を分析し,汚濁負荷量を水漬けから脱灰前の水洗工程までの間で通常法と比較すると,本 法ではBODが約34%,CODが約34%,SSが約29%,油分が約21%,全蒸発残留物が約14%削減さ れた.3) 本法で得られたウェットブルー•製品革の一般化学分析,製品革の機械的性質の測定および外 観の官能検査の結果は,一般に市販されている豚衣料用スエードと比べ大きな差はなかった.以上の結 果から,本税毛法は豚革製造に応用でき,皮革工場排水中の汚濁負荷量の削減に大きく役立つことを認 めた.
  • 佐藤 正寛, 小畑 太郎
    1994 年 65 巻 3 号 p. 289-292
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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