日本畜産学会報
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フィールド記録に基づく肉用種種雄牛評価における肥育農家および枝肉市場情報の必要性
佐々木 義之守屋 和幸
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1994 年 65 巻 3 号 p. 265-270

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抄録

枝肉市場に出荷された肥育牛の記録を用いて種雄牛評価を行なう際の数学モデルに肥育農家あるい63枝肉市場の要因を取り込む必要があるか否かについて検討した.材料としては黒毛和種去勢肥育牛6,848頭(1981-1987年度)の記録を用いた.種雄牛の評価法としては母方祖父モデルのBLUP法を用い,種雄牛間の血縁関係を考慮した.1985年度までのデータを用いて,必要な母数効果をすべて取り込んだ全体モデル,それから枝肉市場の要因を除いたモデルおよび肥育農家の要因を除いたモデルにより,種雄牛評価を行なった.得られた期待後代差EPDにより選抜した後代の期待値と実現値とを比較した.その結果,枝肉市場の要因を除いてもEPDの正確度ににはほとんど影響しなかったが,肥育農家の要因を除くことはEPDの正確度を有意に(p<0.01)低下させることが明らかになった.したがって,フィールド記録に基づく種雄牛評価には肥育農家の情報が必須であると推察される.

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