日本畜産学会報
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ブタ射出精子の卵子への侵入に及ぼすカフェインおよび精子前培養の影響
加野 浩一郎宮野 隆三宅 正史加藤 征史郎
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1994 年 65 巻 3 号 p. 271-276

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抄録

<精子前培養培地あるいは受精培地へのカフェイン添加がブタ射出精子の卵子への侵入に及ぼ す影響ならびに,精子前培養の有無が精子侵入に及ぼす影響について検討した.受精培地への2mMカフェイン添加は,精子前培養培地への同量のカフェイン添加の有無にかかわりなく,無添加区と比べて媒精12時間後における精子侵入率を有意に増加させた(P<0,05).さらに,精子侵入率および精子侵入速度に対する受精培地へのカフェイン添加の効果は用量依存的であり,2~10mMカフェインは0.1~1mMカフェインに比べて精子侵入時期を早め,媒精4~6時間後における侵入率を著しく増加させた.一方,精子前培養の有無で媒精後の精子侵入時期に差がみられ,精子前培養によって媒精4時間後における侵入率は有意に増加した(P<0.05).以上の結果から,ブタ射出精子を用いた体外受精系において,カフェインは受精培地において精子の卵子への侵入を促進すること,また精子前培養によって精子侵入時期が早まることが示された.

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