日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
エレクトロポレーションの最適条件によるBucillus subtilisの形質転換とRuminococcus albusセルラーゼ遺伝子の発現
宮城 智子金市 浩二福村 正之苅田 修一粟冠 和郎嶋田 協大宮 邦雄
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 65 巻 5 号 p. 407-415

詳細
抄録

Ruminococcus albus F-40株から2種類のセルラーゼ遺伝子が大腸菌の系を用いてクローニングされているが,主要なセルラーゼの遺伝子がまだクローニングされていない.そこで,本研究では,R.albusと同じグラム陽性菌であるBaciltus subtilisをホストとし,これにベクターを導入するためにエレクトロポレーションの最適条件を設定した.まず,菌を経時的に採取し,細胞密度が一定になるように緩衝液に懸濁した後に,エレクトロポレーションを行ない形質転換効率および生存率を調べた,この結果,対数後期から定常期にかけて使用した時に高い形質転換効率を得た.次に物理的集件の検討を行なうため,パルス幅と電場強度をそれぞれ変えて形質転換効率を調べたところ,パルス幅を300~500μsec,電場強度を8-12kV/cmに設定した時に高い効率が得られた.プラスミドDNAの濃度と形質転換体数および形質転換効率との関係について調べた結果,形質転換体数はDNA濃度が0.06μg/μlまでは比例的に増加したが,以後漸増するにとどまった.したがって形質転換効率はDNA濃度が0.06μg/μl以上で漸減した.得られた形質転換体より抽出したプラスミドを制限酵素で処理した後,電気泳動で確認したところ,挿入したプラスミドと全く同一であった.既に単離されているR.albus F-40株のセルラーゼ遺伝子(egI)のを組み込んだベクターを用いて,この条件下でエレクトロポレーションを行なった.効率よく,安定な形質転換体が得られ,ウェスタンブロッティングによりegI遺伝子も発現していることが確認できた.また,大腸菌に対しB.subtilisではEgIの分解がみられなかったことから,B.subtilisの系を用いR.albus cellulase遺伝子をクローニングすることが有効であることが判明した.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top