日本畜産学会報
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乳成分の調節がチーズの品質に与える影響
三河 勝彦
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1994 年 65 巻 5 号 p. 470-478

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抄録

個乳を用いて小規模にチーズを生産する場合.乳質の変動がチーズの品質に与える影響を調べるため,同一乳の脂肪率,タンパク質(カゼインミセル)量を調節し,あるいは原料個乳に低温菌プロテアーゼを添加して,それぞれチーズを試作し,風味,熟成率,カゼインの分解を測定した.チーズは全体的にご熟成3週間でかなり良好なフレーバーを示し,6週間では,官能的に市販ゴーダチーズに近いと判定されたが,熟成率は特に大きな値を示さなかった.各処理チーズを対照と比較した場合,脂肪含量を増加させた原料から製造したチーズも,タンパク質含量を増加させた原料からのチーズも,風味や熟成率に自立った差は認められず,むしろ繰り返し実験間の差が大きかった.しかしカゼインミセル添加原料乳からのチーズにおいては,官能的に対照の方が優れていた.少量の低温菌プロテアーゼを添加したチーズでは,対照との間に大きな差は認められなかった.

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