1997 年 68 巻 1 号 p. 29-33
SDS-PAGEと免疫ブロッティング法により,筋肉のメトミオグロビン還元に重要な役割を果たしていると報告されているNADH-チトクロムb5還元酵素の定量法を確立した.この方法では,目的酵素の回収率は90.0から94.4%であった.牛骨格筋におけるNADH-チトクロムb5還元酵素の定量を行った結果,13.8±2.6μg/g筋肉(n=19)であった.また,NADH-チトクロムb5還元酵素がメトミオグロビンを還元する際に電子伝達の中間体として利用するチトクロムb5についても同様に定量法を確立した(59.0±20.9μg/g筋肉).本研究における牛骨格筋のNADH-チトクロムb5還元酵素の定量結果は,メトミオグロビンを還元するのに十分な量の本酵素が筋肉に存在することを示していた.従って,本研究のデータは筋肉においてNADH-チトクロムb5還元酵素がメトミオグロビン蓄積抑制に重要であるというこれまでの仮説を支持するものである.