日本畜産学会報
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(トウモロコシ+大豆粕)飼料給与時の早期離乳子牛における制限アミノ酸と第四胃内アミノ酸投与に対する血漿遊離アミノ酸濃度の反応
阿部 又信関根 将舟場 正幸入来 常徳
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1997 年 68 巻 1 号 p. 18-28

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抄録

6週齢で離乳したホルスタイン種雄子牛を供試し,トウモロコシ•大豆粕•稲ワラから成る飼料(乾物当たりの粗タンパク質含量14.5%)における制限アミノ酸を検索する目的で2回の窒素(N)出納試験を実施した.供試牛は8週齢からの試験期間中も食道溝反射を維持するよう訓練されていた.試験1には9頭を供試し,食道溝経由でDL-メチオニン(Met)を1日に体重(BW)kg当たり0,0.022,および0.111g投与した場合のN出納を1区3頭,10日間を1期とする3×3ラテン方格法により比較した.試験2では18頭を3区に分け,食道溝経由で(1)DL-Met(0.111g/kg BW/日),(2)同量のDL-Metに加えてL-トリプトファン(Trp)0.055g/kg/日,または(3)同量のDL-Metに加えてL-TrpとL-リジン塩酸塩(LysHCl)0.333g/kg BW/日をそれぞれ2週間投与した場合のN出納を比較した.なお,両試験ともL-グルタミンで調整することにより各区の補足N量を一定とした.その結果,試験1では0.111g/kg BW/日のDL-Met投与によりN出納が改善され,同時に血漿中の側鎖アミノ酸(BCAA)濃度も減少したが,0.022g/kg BW/日の投与では効果がなかった.試験2では,(3)の投与により(1)に比べてN出納が改善されたが,この場合はBCAA濃度の減少は認められず,(2)はN出納も改善しなかった.以上により,(トウモロコシ+大豆粕)飼料給与時の第一制限アミノ酸はMetであり,Lysが第二制限アミノ酸であることが示唆されたが,TrpがLysと同程度の制限になる可能性も排除されなかった.また,DL-Met投与に伴う血漿中BCAA濃度の減少にはN蓄積以外の要因も関与する可能性が示唆された.

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