受精の際の配偶子間の認識機構を鳥類で解明するため,精子とインキュベーションすることによって卵黄膜内層に形成される孔についてウズラを用いて検討した.最大卵胞の卵黄膜内層は,顆粒膜細胞を蒸留水中で破壊する方法によって分離した.産卵された卵の卵黄膜は10%NaClで洗浄することによって内層のタンパクを主成分とする膜とした.これらの膜を精子とインキュベーションして形成された孔を観察した結果,産卵された卵では孔の数は少ないが,最大卵胞の卵黄膜内層では精子の濃度依存的に孔が形成されることが明らかとなった.これら2種類の膜の構成タンパクを電気泳動で比較したところ,分子量33,000のタンパクの移動度が異なっており,これが精子との反応に何らかの役割を果たしていることが示唆された.以上の結果から,最大卵胞から分離した卵黄膜内層を用いて鳥類の配偶子間の認識機構を研究できることが明らかとなった.