日本畜産学会報
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ニワトリリポプロテイン分解に対する各種界面活性剤の阻害作用
佐藤 幹鈴木 克巳秋葉 征夫
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1998 年 69 巻 6 号 p. 556-562

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抄録

ニワトリにおける界面活性剤を用いた血中リポプロテイン輸送能の測定法を確立するための基礎として,リポプロテインリパーゼのリポプロテイン(VLDL)分解に対する各種界面活性剤の阻害作用を検討した.ニワトリVLDLとニワトリ脂肪組織リポプロテインリパーゼを用いたin vitro実験では,各種界面活性剤の添加に伴いリポプロテインリパーゼのVLDL加水分解能は低下し,特にpoly. oxyethylene (23) laury ether, polyoxyethylene (20) cetyly ether, polyoxyethylene (20) oleyl ether, polyoxyethylene (20) sorbitan monopalmitateおよびpolyoxyethylene (20) sorbitan monastealate添加時での低下が顕著であった(70%以上).拮抗阻害様式にVLDL加水分解能を阻害した界面活性剤は,Hydrophile-Lipophile Balance (HLB)が約14であり,しかも非拮抗型阻害様式に限害した界面活性剤より低いKi値を示した.npolyoxyethylene (20) sorbitan系活性剤およびTriton WR-1339を体重1kg当たり250mg投与すると,血漿中トリグリセリド濃度が対照区に比べ上昇したが,その上昇はわずかであった.また,それ以外の界面活性剤を投与した場合,動物が急性毒性を示し死亡した.以上の結果から,HLBが約14のpolyoxyethylene系界面活性剤はニワトリリポプロテインリパーゼによるVLDL加水分解を阻害することが明らかとなり,この性質を持つ毒性の低い界面活性剤を選択すれば,ニワトリでも界面活性剤による血中リポプロテイン輸送能の測定が可能になると推測された.

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