異化型硫酸還元の結果,大腸で発生する硫化水素は生体にとって有害であり,発生を制御する必要が指摘されているが,大腸における硫酸還元菌の生理や生態はあまり知られていない.この実験では,大腸で起こる異化型硫酸還元のpH依存性について知ることを目的とした.ブタ盲腸液より調整した細菌懸濁液をpH4.5から7.4の範囲で14段階に調整した緩衝液中で12時間培養し,発生した硫化水素を定量した.このとき硫酸イオンと電子供与体(乳酸あるいは水素)は十分量供給した.至適pHは乳酸基質の場合6.1~6.4で,水素基質の場合の6.0よりやや高かった.