2001 年 72 巻 10 号 p. 564-569
ニワトリ砂嚢筋ミオシンの加熱ゲル形成能に及ぼす塩化鉄の影響を調べた.ミオシンの加熱ゲル強度はFeCl2の添加で上昇した.加熱ゲル強度に対するFeCl2の効果は塩濃度の違いで異なっていた.ミオシンの蛍光強度もFeCl2の添加により,低塩濃度(0.1~0.2M)では低下し,高塩濃度(0.4~0.5M)では上昇した.0.3M KClでは中間型の変化を示した.ゼロ長架橋剤(EDC)によるミオシンロッドの架橋はFeCl2によって促進された.FeCl2によるミオシンフィラメントあるいはミオシン分子のこれらの変化が加熱ゲル強度の上昇に関係していると推察できた.