日本畜産学会報
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プレカラム蛍光誘導化法による食肉中残留ペニシリン系抗生物質の高速液体クロマトグラフィー分析
牛水 徹佐藤 俊男齋藤 忠夫伊藤 敞敏
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2001 年 72 巻 10 号 p. 570-578

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抄録

ウシおよびブタの筋肉および腎臓中に残留する可能性のあるペニシリン系抗生物質(PCs;ペニシリンG,オキサシリン,クロキサシリン,ジクロキサシリンおよびナフシリン)を蛍光誘導体化することにより,高感度に定性定量する分析法を開発した.7種の蛍光誘導体化試薬についてペニシリンGとの反応性を検討し,もっとも良好な結果の得られた1-プロモアセチルピレンを選択した.筋肉および腎臓試料の水抽出液を,硫酸およびタングステン酸ナトリウムで除タンパク処理を行い,C18固相抽出カートリッジカラムを用いてPCsを濃縮した.カラム溶出液中のPCsを1-ブロモアセチルピレンおよび18-クラウン-6を用いて蛍光誘導体化(40°C,30分)し,逆相モードの高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った.筋肉および腎臓試料に各PCsを50および200ng/g添加した時のPCsの回収率は,ペニシリンGで73~96%ともっとも良好な結果が得られ,オキサシリン,クロキサシリン,ナフシリンおよびジクロキサシリンにおいても,それぞれ73~90,64~83,62~71および61~67%と良好であった.食肉試料における検出限界はペニシリンGでは2ng/g,その他のPCsでは5ng/gであった.また,簡易検査法によりPCs残留の疑われたウシ筋肉および腎臓試料から,本法によりペニシリンGを定量(0.045~29.0μg/g)することができた.

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