日本畜産学会報
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分娩前の飼養管理による乳牛の周産期疾病予防
清宮 幸男菊池 文也山口 直己菅原 薫中嶋 芳也
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2001 年 72 巻 10 号 p. 587-593

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抄録
乳牛86頭の分娩前3週間の飼養管理としてTMRを群単位で(対照群)あるいは個体別に(試験群)給与し,分娩前の適切な飼養管理による周産期疾病の予防効果について同時期の体重推移の観点から検討した.過肥の栄養状態で乾乳開始時期を迎えたウシにおける妊娠の進展にともなう増体重を除く分娩前1ヵ月間の体重減少率および周産期疾病の発生率は,対照群の5.0±2.9%(平均値±標準偏差)および8例中6例(75%)から試験群の1.4±2.5%および13例中3例(23%)へと,後者の減少率が有意に軽減し(P<0.01),発生率も低下傾向(P<0.1)を示した.適正な栄養状態で同時期を迎えたウシのそれらは,対照群において2.9±3.6%および8例中5例(63%),試験群において1.0±2.7%および27例中3例(11%)であり,後者の発生率が有意に低下した(P<0.0l).両群の初産牛は体重減少を示さず,疾病発生は対照群の11例中1例(9%)のみに観察された.以上の結果から,分娩前の適正な飼養管理は,体重減少率を軽減する効果および本調査では特定できなかった他の効果により疾病発生率を低下させることが示唆された.
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