日本畜産学会報
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受胚牛における子宮頸管粘液性状と血中プロジェステロン濃度および受胎成績の関係
笹木 教隆河合 隆一郎小林 修一前田 淳一
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2001 年 72 巻 7 号 p. 28-33

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抄録

ウシ胚移植の受胎率向上を目的として,移植前に受胚牛の子宮頸管粘液を採取し性状を検査することにより,受胚牛の選定が可能かどうか検討した.発情後2日~移植日前日(5~7日)の受胚牛より子宮頸管粘液の採取および採血を行い,子宮頸管粘液性状および胚移植後の受胎成績とプロジェステロン濃度の関係を調査した.子宮頸管粘液中の核崩壊した上皮細胞の割合別(-:0%,±:20%未満,+:20~80%未満,++:80%以上)に,受胚牛を分類したところ,-群,±群の受胎率およびプロジェステロン濃度は,+群および++群に比べて有意に高かった(P<0.05).子宮頸管粘液のpHが,6.9以下および7.7以上の受胚牛はすべて不受胎であった.pHとプロジェステロン濃度および受胎成績の間には,一定の傾向は見られなかった.以上の結果から,子宮頸管粘液性状の検査により,受胚牛の血中プロジェステロン濃度と子宮の状態を推定することが可能となり,受胎性の高い受胚牛を選定することで,移植胚の受胎率を高められることが明らかとなった.

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