地理科学
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論文
今昔マップの開発と利用
谷 謙二
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2022 年 77 巻 3 号 p. 121-131

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抄録

本稿は,新旧の地形図を並べて表示する「今昔マップ」について,システムの開発の経緯と利用について報告するものである。今昔マップは2005年にWindows版「時系列地形図閲覧ソフト 今昔マップ(首都圏編)」を開発したことに始まる。当初はDVDで配布していたが,2008年にインターネットからダウンロードできる「今昔マップ2」を公開した。2013年に地図タイル形式を採用したWeb版「今昔マップ on the web」,2015年にWindows版「今昔マップ3」を公開した。2019年には「地理総合」での利用を見越して全都道府県庁所在地を収録し,2021年12月末現在,52地域4,644図幅分の旧版地形図を収録している。

今昔マップの利用例としては,旧街道のまち歩きや廃線探索など趣味的なものから,学術,教育,地歴調査,不動産関連の業務など広範にわたる。「地理総合」など地理教育で使う場合は,地図・GIS,防災,地域調査などでの利用が想定される。利用する際は,地図記号の変化や戦時改描に留意し,また,災害危険性の伝え方に工夫が必要である。

今昔マップの収録範囲は一部に限られる。多様な需要に応えるため,国土地理院によるインターネットでの旧版地形図の詳細な画像の公開が求められる。

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