中部日本整形外科災害外科学会雑誌
Online ISSN : 1349-0885
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原著
踵の高さの違いによる足底圧分布の変化
森内 宏充
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ジャーナル 認証あり

2011 年 54 巻 6 号 p. 1127-1135

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抄録

【目的】ハイヒール靴による足部障害を予防するためには, どの程度の踵の高さから足底圧分布の変化や足変形が生じるのかなどの検討が必要である. 本研究の目的は, 踵の高さと立位静止時の足底圧分布との関係および足変形の詳細を明らかにすることである.
【対象および方法】健常女性15名30足を対象とした. 踵の高さ2cmの靴を独自に作製し, 靴底に厚さ1cmの楔状のブロックを1枚ずつ取り付けることにより, 踵の高さを8cmまで7段階に調整できるようにした. F-scan® (株式会社ニッタ, 大阪) を用いて踵の高さ2cmから8cmまで, 各踵の高さにおける立位静止時足底圧を計測した. 計測したデータは足底を9つの領域に分け, 各領域における足底圧を算出し検討した. 足部骨格に生じた変化は, 立位足側面X線像を撮影し評価した.
【結果】踵の高さが高くなると中•後足部にかかる圧は徐々に低下し, 踵の高さが6cmを超えると前足部の内側と中央にかかる圧は上昇した. X線学的には足の縦アーチが増大し, 前足部は回内し扁平化した.
【結論】踵の高さが6cm以上のハイヒール靴を履くと足部障害が生じる可能性のあることが示唆された.

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© 2011 by The Central Japan Association of Orthopaedic Surgery & Traumatology
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