抄録
本研究は日本における経営者保証の価値を、リアルオプションアプローチを利用して分析する。中小企業の経営者は金融機関から融資を受ける際に連帯保証人になるかどうかを選択することができ、連帯保証人にならない場合には、利子率が連帯保証人になる場合よりも高くなる。本研究では、この経営者保証がコールオプションと安全資産からなるポートフォリオであることを示す。さらに、経営者保証の価値は、安全利子率、経営者の富の水準、融資を受ける企業のリスクに依存して決まることを示す。経営者が連帯保証人になる場合の利子率は、経営者の富の水準に依存する。