理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: AO001
会議情報

主題(科学的根拠に基づく理学療法)
脳卒中リハビリの効果
発症後期間別改善率の分析
*深町 秀彦太田 正彦市村 健春日 信柳沢 利和武田 忠和栗原 かおる市川 彰萩原 将一丸山 陽一大江 厚徳力 康治笠原 洋平矢島 通広
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】 演者は、平成12年鹿児島学会において所属施設に入院していた脳卒中患者138名を対象に、発症から入院までの期間別にリハビリの効果を調査し報告した。今回、同調査を長野県下4500の病床を抱える厚生連11病院に入院した脳卒中患者に対象を拡大して行った。この結果および前回の調査結果との比較も含めて検討したので報告する。 【対象・方法】 調査対象者は、平成13年9月からの1年間に長野県厚生連11病院に入院し理学療法を受けた脳卒中患者で、入院時、退院時の機能評価を行い得た537例である。性別は男性305例、女性232例で平均年齢は72.2才であった。調査項目は、性別、入院時年齢、発症から各病院入院時までの期間(発症後期間)、入院時と退院時のブルンストロームステージ(Br.Sと略す)、Barthel Index(BI)、寝たきり老人の日常生活自立度(寝たきり度)、各種移動動作14項目について、その改善の程度を調査した。各調査項目の改善度は、入院時から退院時までに1段階あるいは1点でも改善があった者(少しでも改善した者)の人数比率である単純改善率(%)を求め検討した。改善率の比較には、自由度1のχ2検定を用い統計分析を行った。【結果】 発症後期間によって1群:30日以内(242例)、2群:90日以内(115例)、3群:6ヶ月以内(33例)、4群:1年以内(25例)、5群:1年以降(122例)の5群に分けた。各群の平均年齢に有意差はなかった。Br.S(下肢)の改善率は1群36.3%、2群22.6%,3群9.1%、4群8%、5群6.6%であり、BIの改善率は1群64.9%、2群59.1%、3群33.3%、4群16.0%、5群27.0%となっていた。共に発症後期間が長くなるにつれ改善率も低下していた。この傾向はその他の調査項目にも同様に認められ、全ての調査項目において1・2群と3・4・5群の間(90日以前、以降)で改善率に有意差を認めた(P<0.01)。次に、BIの10項目と14の移動動作項目に関して、3群(90日)以降でも改善を示した項目のうち、改善率の比較的高かった動作項目は、階段昇降・屋外歩行・マット上立ち座り動作(12.9%)、ベッド・車椅子からの立ち上がり(11.8%)、乗り移り動作(10.7%)、BIの移動(10.5%)、車椅子駆動・エレベーター昇降動作(10.1%) であった。【考察】 脳卒中患者における発症後期間別のリハビリの効果を分析した結果、やはり早期に入院しリハビリを開始した者ほど改善率は高かった。ただし、前回調査で改善率に有意差を示したのが6ヶ月以前と以降の群の間であったのに対し、今回その期間が90日以前、以降となっていた。また、前回6ヶ月以降の移動動作項目の改善率は20から30%は保たれていたのに対し、今回の調査では、90日以降で既に10%台と低下していた。このことから、社会的に早期リハビリの充実、徹底がなされ、改善のピークがより早期の時期に移行していることが伺えた。一方、日常生活の総合能力としてのBIおよび寝たきり度の改善率が15から25%保たれていることも、慢性期リハビリの効果として重視すべきである。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
次の記事
feedback
Top