理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CO852
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運動学
MRIによる股関節屈曲運動時の骨盤後傾に関与する腰椎椎間関節と腰仙関節および仙腸関節運動の解析
*宇佐 英幸竹井 仁根岸 徹齋藤 宏
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キーワード: MRI, 骨盤後傾, 腰仙部
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抄録
【はじめに】股関節屈曲運動には、骨盤に対する大腿骨の動きと骨盤後傾運動の両方が含まれる。我々は第36・37回日本理学療法学術大会にて、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて、健常成人女性を対象に一側および両側股関節屈曲運動を解析した結果、股関節屈曲運動には骨盤大腿リズムの存在と仙腸関節の動きが関与することを報告した。今回はさらに、骨盤後傾運動に関与する腰椎椎間関節と腰仙関節および仙腸関節の動きについて解析を行ったので報告する。【対象と方法】被験者は健常女性10名。平均年齢は21.2(19-23)歳、身長と体重の平均値±標準偏差は、153.4±2.76cm、46.1±2.18kg。方法は、背臥位・膝関節屈曲位での、他動的な一側および両側股関節屈曲運動を、0゜・15゜・30゜・45゜・60゜・最大屈曲位の6種類の設定角度についてMRI(GE社製SIGNA1.5T)を用いて計測した。MRIは、Body Coilを用い、各設定角度につき約3分間で、約30スライスのT2強調矢状断像を撮像した。解析項目は各設定角度に関して、第4腰椎、第5腰椎、第1仙椎の各上位椎骨に対する相対的傾斜角(以下それぞれ∠L4、∠L5、∠S1)である。結果は、分散分析と多重比較検定、t検定で処理し、危険率5%未満を有意とした。【結果】股関節屈曲0゜の時の相対的傾斜角を0として、15゜以上の各設定角度における第4腰椎、第5腰椎、第1仙椎の各上位椎骨に対する相対的後傾量(以下それぞれΔL4、ΔL5、ΔS1)の平均値は以下の通りであった。〔一側股関節屈曲運動時〕ΔL4:‐0.27・‐0.03・‐0.20・‐0.18・0.38。 ΔL5:‐0.97・0.09・1.29・1.28・4.71。 ΔS1:0.98・1.17・1.39・2.89・7.28。〔両側股関節屈曲運動時〕ΔL4:‐0.18・0.35・1.15・1.53・5.64。 ΔL5:‐0.73・‐0.13・1.89・2.29・10.88。ΔS1:‐0.05・0.96・1.66・3.55・14.40。 各設定角度における多重比較の結果、一側股関節屈曲には、15゜でΔL4とΔS1間、ΔL5とΔS1間に、45゜と60゜でΔL4とΔS1間に、最大屈曲位ではΔL4、ΔL5、ΔS1すべての間に有意差があった。両側股関節屈曲には、60゜でΔL4とΔS1間に、最大屈曲位ではΔL4、ΔL5、ΔS1すべての間に有意差があった。また、一側股関節屈曲と両側股関節屈曲それぞれにおいて、最大屈曲位でのΔL4、ΔL5、ΔS1の骨盤後傾量に対する割合を算出し、t検定で比較した結果、両側股関節屈曲運動時のΔL4の割合が有意に多かった。【考察】股関節屈曲運動における骨盤後傾は、最大屈曲位付近では、より下位の関節、特に腰仙関節の動きの影響が大きいことが確認できた。また、一側股関節屈曲の最大屈曲位付近では、第3-4腰椎椎間関節の動きの割合が両側股関節屈曲に比較して少なかった。先行研究から、一側股関節屈曲の最大屈曲位では仙腸関節の動きも骨盤後傾に関与することが確認されており、一側股関節屈曲運動時には、対側骨盤の動きの制限によって生じる第3-4腰椎椎間関節の動きの割合の少なさを仙腸関節の関与で補っていると考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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