抄録
【はじめに】等速性筋出力テストから得られる最大仕事量(以下;MW)はPeak Torqueと同様にパフォーマンスを評価する上で重要なパラメーターとなりうる。Closed Kinetic Chain(以下;CKC)とOpen Kinetic Chain(以下;OKC)の関連の報告は多いが,股関節及び足関節を交え全体的に比較した報告は少ない。今回、最大随意性収縮(以下;MIVC)時において下肢多関節等速性運動と単関節等速性運動(股・膝・足関節)時のMWとMW/Weightを測定し若干の知見を得たので報告する。【対象】健常者女性24名で,平均年齢21.6±1.6歳、平均身長158.4±4.8cm、平均体重52.2±6.1kg、活動レベルはレクリエーションレベルであった。【方法】測定を始める前にウォーミングアップとしてエルゴメータを20Watt・60から70回転/minを5分間行い、対象筋群に対して各々20秒間のストレッチを行った。筋力測定機器はBIODEX SYSTEM3を用い、単関節においてはBIODEX社が推奨するポジショニングで股関節伸展(以下;HE)、膝関節伸展(;以下KE)、屈曲(;以下KF)、足関節背屈(;以下DF)、底屈(;以下PF)を3種類の角速度60、180、300deg/secでConcentric及びEccentric contractionを5回2セットを行い、その運動時MWとMW/Weightを測定した。股・膝関節測定可動域は10゜から90゜までとし、足関節は背屈15゜から底屈30゜までとした。また、多関節の測定は、単関節と同じ3種類の角速度でConcentric及びEccentric contractionを5回2セット行った。ポジショニングは仰臥位、股・膝関節測定可動域は10°から90゜まで、足関節はフリーとした。各項目は無作為にMIVC下にて測定を行った。各運動項目では、できる限り代償が入らぬよう骨盤、体幹等十分な固定を行った。各運動項目間の休憩は40秒以上入れた。統計処理は各CKC及びOKCのMWとMW/Weight群間(各角速度)においては、One-way ANOVAを用い、多重比較はScheffeを選択し有意水準5%とした。また、各CKCとOKC間時MW及びMW/Weightの相関性をみるためにPeason相関係数を算出し有意水準5%で比較した(1セットと2セットの測定結果各々について行った)。【結果及び考察】各運動項目(HE・KE・KF・PF・CKC)群間のConcentric及びEccentric 時のMWとMW/Weightは、角速度間では低角速度ほど有意に高値を示し、収縮様式間(ConcentricとEccentric間)では Eccentric contractionが有意に高値を示した。CKCとOKC間時MWとMW/Weightの相関性については HE・KE・KF・PF・DFとCKC間に有意な相関は認められなかった。以上によりCKCとOKCの評価は、分けて行うことが必要であると示唆される。今後、筋電図学的な検討の必要性も考えられる。