理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP219
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運動学
健常人における股関節外旋筋群が股関節屈曲に及ぼす影響
*佐藤 香緒里吉尾 雅春宮本 重範
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抄録
【目的】股関節の屈曲制限は大腿前面と腹部体幹の接触、あるいは軟部組織の伸張によって起こるとされているが、大腿前面と腹部体幹の接触により股関節屈曲が制限される場合、股関節だけではなく骨盤の動きも含んでいる。軟部組織の伸張により制限される場合、どのような軟部組織により制限されるかは明らかにされていない。本研究では、片麻痺患者などで股関節内旋角度が小さい症例では股関節屈曲角度も減少していることが多い点に着目し、股関節外旋筋群の伸張が股関節屈曲角度に与える影響について検討を行った。【対象】股関節に疾患および外傷の既往歴がなく、股関節に痛みのない20代の健常男性30名(平均年齢22.4±2.4歳、平均BMI21.0±1.6)と健常女性30名(平均年齢21.5±1.7歳、平均BMI20.7±1.7)のボランティアを対象に実験を行った。なお、実験に先立ち被験者に対し実験に関する十分な説明を行い、被験者より書面にて実験協力の承諾を得た。【方法】被験者はベッド上に背臥位をとり、骨盤をベルトで固定した。被験者の非利き足側股関節の回旋角度を変えて、矢状面上で他動的に屈曲し、側方よりデジタルカメラで撮影した。この際、ハムストリングスの影響を受けないように膝関節は屈曲位とした。また、股関節の内外転を制御し回旋角度を一定にするために、膝関節の側方に自製の垂直板を立て、回旋角度設定のために下腿と板の間に発泡スチロール製の三角形の楔をはさみ計測を行った。楔の角度は10°・20°・30°・40°とし、股関節内旋10°・20°・30°・40°、外旋内外旋中間位、外旋10°・20°で測定した。最大内旋が40°以下の場合は内旋可能な範囲で計測を行った。計測者は常に同一人物で行った。股関節屈曲角度は画像処理ソフトScion Imageを用いて、デジタルカメラで撮影した画像より算出した。各回旋角度で3回ずつ撮影を行い、その平均値を股関節屈曲角度とした。この方法の再現性は、股関節内旋位でICC(1,2)=0.98、股関節外旋位でICC(1,2)=0.92と良好であった。【結果】股関節屈曲角度の平均値は外旋20°で103.8°±5.5°、外旋10°で102.5°±5.7°、内外旋中間位で98.0°±6.8°、内旋10°で94.1°±8.0°、内旋20°で90.8°±7.8、内旋30°で87.4°±7.9°、内旋40°で83.4°±7.1°であった。一元配置分散分析を用いて分析を行った結果、内旋角度により股関節屈曲角度は有意な差を認め(p<0.001)、内旋角度が増加すると屈曲角度は減少した。【考察】内旋角度が増加すると股関節屈曲角度は減少することから、外旋筋群が伸張されることにより股関節の屈曲が制限されることが示唆された。しかし、本研究では股関節屈曲を制限している股関節外旋筋を特定することはできなかった。股関節に屈曲制限がある場合は、股関節内旋角度、すなわち股関節外旋筋群の短縮にも注意を払う必要があると考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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