理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP221
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運動学
下肢伸展挙上運動時における大腿四頭筋の筋電図学的考察
股関節内転運動とsettingを同時に施行した場合
*上田  将之由利 真小林 巧秋吉 史博堀 享一梅本 かほり
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抄録
【はじめに】膝関節の伸筋を増強させる運動として、下肢伸展挙上(SLR)運動や大腿四頭筋のsetting(QS)運動が広く普及している。これらの運動時における大腿四頭筋の筋活動については筋電図などを用いて検討されている。また、大腿四頭筋のなかでも内側広筋は内側広筋長頭と内側広筋斜頭(VMO)に分けられ、特にVMOの弱化は膝蓋骨の外側偏位の要因となり、膝蓋大腿関節痛との関連が示唆されている。したがって、膝蓋大腿関節痛を有する患者などに対しは、VMOを選択的強化することが重要と考えられている。このような患者に対する大腿四頭筋の運動処方として、SLRやQSなどが実施され、SLRと同時に股関節内転や足関節の肢位の違いについて検討されているが、有効な運動療法の確立には至っていない。本報告の目的は、SRLならびにSLR施行時にQSと股関節内転運動を組み合わせた運動を実施した際の大腿四頭筋の筋活動を筋電図学的に評価し、各課題と各筋の筋活動の関係について考察することである。【対象と方法】対象は健常成人男性10名(平均年齢25.7歳)とした。方法は、4つの課題と最大収縮運動(MVC)を実施した時の大腿直筋、外側広筋(VL)、内側広筋斜頭の筋電図を記録した。MVCは椅子坐位にて膝関節伸展運動を行い、この時の筋活動を100%として各課題時の筋活動を正規化し(%MVC)、各課題における筋活動について比較した。課題1はSLR、課題2はSLRとQSを同時に実施、課題3はSLRに股関節の内転運動を追加、課題4はSLRにQSと股関節内転運動を同時に実施させた。さらにVLに対するVMOの値(VMOの%MVC/VLの%MVC)であるVMO/VL比を算出した。なお、統計処理には多重比較検討を用いて、有意水準は5%未満とした。【結果】課題1と股関節内転運動を追加した課題3における各筋の%MVCは、ほとんど同じ結果であった。また、課題2と課題4の%MVCの結果についてもほぼ同じ結果が得られた。課題1と3を課題2と3と比較すると、各筋の%MVCは課題1と3のほうが有意に低くかった。VMO/VL比の平均値は、課題1が0.47、課題2が0.74、課題3は0.44、課題4では0.72であり、SLRにQSを複合して実施した場合にVMO/VL比の値が高くなる傾向が得られた。【考察】本研究では、SLRにQSと股関節内転運動を組み合わせた運動を実施した時の筋活動を検討した。その結果、SLRに内転運動を加える運動は、大腿四頭筋の筋活動を高める効果やVMO/VL比を変化させないが、SLRにQSを組み合わせると、筋活動とVMO/VL比を高める効果があることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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