理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: AO014
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主題(科学的根拠に基づく理学療法)
動的関節安定性トレーニングが膝屈伸筋力とバランス能力に及ぼす効果
*市橋 則明大畑 光司竹村 俊一森永 敏博
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抄録
【目的】日常生活やスポーツ活動における不意な外力や床面の急激な変化に対して下肢筋は敏速に反応する必要がある。このような神経筋の協調性を高めるためには、身体の各種固有受容器からの的確な情報入力に対する敏速な筋出力に基づくフィードバック制御と可能な限りのフィードフォワード制御の観点からのトレーニングが重要である。本研究の目的は、筋力トレーニングと協調性トレーニングを併せ持った動的関節安定性トレーニングが膝屈伸筋力とバランス能力の向上にどのような効果があるのかを明らかにすることである。【対象と方法】対象は下肢及び体幹に整形外科的疾患のない健常成人男性13名(平均年齢24.7±3.6歳)とした。トレーニング方法はRisbergらが紹介したBalance Reach ArmとBalance Reach Legとした。これらはバランスマット上で片脚立位をし、STAR(ビニールテープ8本を45度間隔で放射線状に床面に貼ったもの)と呼ばれる床面に描かれたベクトル図に沿って最大に手や足をリーチするトレーニングである。トレーニングは右下肢に週3-4回、4週間にわたって行わせ左下肢をControlとした。トレーニング時間はBalance Reach Arm1分間、Balance Reach Leg2分間とし、メトロノームを用い、2秒で最大リーチを行い、2秒で開始肢位へ戻り、次の方向のリーチ動作へと移行した。 トレーニング効果の評価として以下の4項目を測定した。1)膝屈伸最大トルクは、MYORET(川崎重工製RZ450)を用い角速度60,180,300deg/secにおいて測定した。2)脚伸展最大トルクの測定にはStrengthergo(三菱電機製)を用いた。回転速度は60,100rpmの2種類とした。3)バランス能力は、重心動揺計(アニマ社製G-5500)を使用し、開・閉眼での30秒間の片脚立位時とCross Test時の重心動揺を測定した。4)Balance Reach Leg最大距離は、STARの中心点での片脚立位を開始肢位とし、第一趾を床面に示されたSTARの方向(5方向)に向けて最大までリーチさせた時の距離を測定した。【結果と考察】60deg/secと300deg/secにおける等速性膝伸展トルクは、トレーニング側(以下TR側)で有意に増加したが膝屈曲筋力は有意な変化を示さなかった。Control側は膝屈伸筋力共に有意な変化を示さなかった。脚伸展最大トルクは、TR側において増加したが有意な変化を示したのは60rpmのみであった。Control側は有意な変化を示さなかった。片脚立位時の総軌跡長は、TR側とControl側において開眼、閉眼ともに有意に減少し、静的バランスの向上がみられた。Cross Test においては、実効値面積、X方向最大振幅、Y方向最大振幅において有意な増加がみられた。Balance Reach Leg最大距離は、TR側では5方向すべてにおいて有意に増加した。Control側においても、3方向において有意な増加がみられた。本研究結果より動的関節安定性トレーニングであるBalance Reach ArmとBalance Reach Legは膝伸筋の筋力と下肢の動的・静的バランス能力を高める有効なトレーニングであることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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