抄録
【はじめに】 近年,コンピューターの発展はデータ処理を容易にした。また,人体の複雑な動きを記述し,力学的要素を加えた情報の定量化を推定出来るようになった。今回,我々は有限要素法を用いた立位姿勢解析を試みた。その中で,各関節に加わる荷重率や各関節に加わるモーメント,各関節に加わる床反力を算出することが可能であった。なお,本解析においては,1次元要素としては理論的に最も精度の高い梁要素(3次関数にて変位を仮定し,複雑動作を表現可能)を用い,人体の離散化を行った。さらに,興味深い点は有限要素法で使用するデータをデジタルカメラなどで撮影したデジタル画像から作成し,簡単に数値化できるという点であり,1台のパソコン以外設備・資本を必要とせず,現在膨大な費用や時間を費やしている解析方法とは比較にならないほどの有用性を示す。よって,今後本手法ソフトが大きく展開を示すと考えられる。【条件設定】 身体各部に加わる外力(荷重・モーメント)・変位などの力学的変量を求めるために,条件設定を行った。体表より触知出来るランドマークにマーキングを行う。それらの点を結び,人体のモデル化とする。そのモデルに接点を76個設け要素を75個持たせて離散化を行った。これを人体基本モデルとした。モデル化した身体を剛体としてとらえるのではなく,外力によってその形状が変化すると仮定し,剛性マトリックスを条件設定した。この剛性マトリックスとしては,骨の弾性率を条件として与えた。モデル化した身体に条件設定を行い,力学的要素を算出するために支配方程式としてフックの法則を利用した。この式を用いて身体モデルに外力としての等分布荷重,集中荷重が作用し,身体モデルに応力が生じるとし,更に内部仮想仕事と外部仮想仕事は等しいと見なした。【方法】 理学療法の効果を判定するために,理学療法試行前の立位姿勢と理学療法試行後の立位姿勢をデジタルカメラにて撮影し,本解析ソフトを用いて各関節に加わるモーメント・各関節に加わる荷重率を算出し,対比させる事によって評価・効果判定を行った。【結果】 本解析ソフトを用い,アライメント変化を的確に表現することは可能であった。更に,そのアライメントの変化を力学的要素の変化としてモーメントと荷重率の二つを数値化することが可能であった。【まとめ】 梁要素とは1次元要素としては理論的に最も精度が高く座標点の変化を演算し,その座標点の位置変化の力学的特性を表出する。今回,理学療法効果判定を目的に本ソフトを作成し数値化した。今後3次元解析まで発展させて行きたいと考えている。