理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP570
会議情報

運動学
筋骨格モデルを用いたスクワット運動の生体力学的検討
*金井 章元田 英一鈴木 康雄植松 光俊大川 裕行坂野 裕洋梶原 史恵
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】股関節疾患や膝関節疾患に対する理学療法では、筋力の回復とそれに伴う関節安定性の向上、疼痛の軽減を目的に股関節周囲筋の筋力訓練が行われている。その方法は、症状や術後の状態に合わせて床上でのOpen kinetic chain(OKC)訓練やスクワット、歩行訓練、階段昇降運動などのClosed kinetic chain(CKC)訓練が一般的に行われている。しかし、その運動時の股関節に対する負荷についての検討は十分に行われておらず、経験的な指導が行われているのが現状である。そこで今回、筋骨格モデルを用いて各筋張力を算出し、運動中の関節に対する負荷の大きさと方向の変化について検討したので報告する。【対象と方法】被検者は健常男性3名(平均年齢45歳)とし、それぞれ両下肢を対象とした。運動は、両足部を約30cmの間隔としたスクワットとコントロールとしての安静立位を行わせた。運動の頻度はおよそ0.5Hzとして数回の練習を行わせた後10回の計測を行い、その中から計測値に問題のないものを各例1つずつ選び運動の解析を行った。立位時の計測は、安定したと思われてから1秒行い、その平均値を求めスクワットとの比較を行った。運動の計測には3次元動作解析装置(VICON250)と床反力計(KISTLER)を用いた。計測されたデータと被検者の身体特性から筋骨格モデルを作成し、運動中の各筋張力の変化を求めた。筋骨格モデルはBrand RAのデータをもとに、対象者の骨サイズへ骨盤、大腿骨、下腿骨、足部のそれぞれに対してスケーリングをすることにより、下肢の主要な37筋の走行を求めた。各筋の筋力と関節合力の算出は、Crowninshield R Dによる各筋の代謝モデルから運動中の各筋ストレスの3乗の合計を最小にする評価関数を用いた。また、関節負荷量は体重比(BW)で比較した。【結果】1.立位時の股関節負荷量は平均0.96BWであった。2.スクワット時の股関節負荷量は、最大値は平均1.38BWと立位時に比べて有意(p<0.05)に大きく、最小値は平均0.56BWで立位時に比べ有意(p<0.05)に小さかった。3.スクワット時の矢状面における股関節負荷の方向は、開始時垂線に対して前方に平均4.7度であったものが、最大筋力発揮時には後方へ平均30.8度と変化した。4.体幹を前に傾けた状態でのスクワットでは脛骨に後方引き出し力が発生していた。【考察】今回用いた筋骨格モデルは生体への侵襲も無く個々の症例に合わせたモデルを作ることが可能となることから臨床の場で行なわれる様々な動作訓練や筋力訓練についての力学的評価を行うのに最適であると考えられる。今後症例数を増やしてさらに検討する必要があると考えられた。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top