理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: AO016
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主題(科学的根拠に基づく理学療法)
通所リハ施設利用高齢者の足把持力と転倒との関連性
*村田 伸忽那 龍雄
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抄録
【はじめに】超高齢社会を迎える我が国にとって、高齢者の転倒発生要因の解明や予防は重要な課題である。高齢者の転倒の発生要因については様々な報告があり、身体機能と転倒との関連性について示した報告も多い。しかし、足部機能との関連を示したものは少ない。そこで今回、在宅障害高齢者の足部機能、特に足把持力に焦点を当て、身体能力との関係や、転倒との関連性を検証した。【対象と方法】3カ所の通所リハビリテーション施設を利用している介護度が要支援から要介護3までの在宅障害高齢者137名の内、1)女性であること、2)重度の痴呆がないこと{Mini-Mental State Examination(以下MMS)2桁以上}、3)自力歩行が可能であること、4)脳血管障害の利用者では下肢の麻痺が軽度なこと(Brunnstrom stage V以上)の条件を満たす92名、年齢69から97歳(平均年齢82.7歳±6.1)を調査対象とした。但し、転倒の有無による比較の対象は、転倒歴の信頼性を期すため、MMSが20点以上の68名とした。調査項目は、1)転倒歴、2)MMS、3)Barthel Index(以下BI)、4)体重測定、5)足把持力測定、6)大腿四頭筋及びハムストリングの筋力測定、7)片足立ち保持時間測定、8)重心動揺測定、9)歩行速度測定を実施した。【結果】足把持力と動作能力との関係は、片足立ち保持時間r=0.71(p<0.001)及び歩行速度r=0.54(p<0.001)との間に有意な正の相関が認められ、重心動揺r=-0.46(p<0.001)との間に有意な負の相関が認められた。大腿四頭筋及びハムストリング筋力は、片足立ち保持時間とそれぞれr=0.31(p<0.05)、r=0.28(p<0.05)及び歩行速度r=0.61(p<0.001)、r=0.49(p<0.001)との間に有意な正の相関が認められ、重心動揺との間に相関は認められなかった。  転倒歴群(18名)と非転倒歴群(50名)の2群間の比較において、有意差が認められたのは足把持力、片足立ち保持時間、重心動揺、歩行速度の4項目であり、転倒歴群が非転倒歴群より有意に劣っていた。その他の項目(年齢、体重、大腿四頭筋筋力、ハムストリング筋力、MMS、BI)については有意差を認めなかった。さらに、転倒歴の有無を目的変数、その他の調査項目を説明変数としたロジスティック回帰分析の結果は、足把持力のオッズ比が有意で、2.55(95%信頼区間1.04-6.28)であった。【考察】以上の結果から足把持力は、立位姿勢保持や歩行などの立位動作に重要な役割を果たしており、その弱化は、転倒を引き起こす危険因子となることが明らかとなった。またこのことは、足把持力の客観的評価の重要性を示し、高齢者の足把持力を高めることで転倒を予防する可能性のあることを示唆した。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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