理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP662
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運動学
転倒に対する耐容能力と下肢筋力との関係について
地域在住の中高年者を対象とした検討
*岡藤 直子加藤 仁志三上 晃生大渕 修一清水 忍
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キーワード: 転倒, 耐容能力, 下肢筋力
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抄録
【目的】歩行中に不意の外乱刺激を与えることができる両側分離型トレッドミルを用いて、転倒に対する耐容能と下肢筋力の関係について検討した。【対象】K大学市民講座に出席した地域在住の中高年者のうち。除外基準に該当せず、研究に対する同意を得られた25名(年齢65.9±4.5歳、男性14名、女性11名)を対象とした。【方法】使用機器は両側分離型トレッドミル(PW-21:日立製作所)、ハーネス(アンウェイシステム:BIODEX社)、筋力測定機器(MYORET RZ-450、川崎重工社製)であった。被験者はハーネスを装着し、両側分離型トレッドミル上で手すりにつかまらずに前方を注視して歩行した。転倒と判断された場合(手すりにつかまる、両側分離型トレッドミルの安全装置が作動する)は測定を終了し、転倒に対する耐容能力をレベル判定した。外乱刺激は歩行中左立脚期に対し、左のベルトを急速に500msecの間停止させ、その後元の速度に戻すというものを3回ずつ任意に与えた。 下肢筋力は、MYORETを用いて膝関節屈曲・伸展、足関節底屈・背屈についてそれぞれ等尺性筋力および角速度60deg/sec、120deg/sec、240deg/secを測定した。統計解析はSpearmanの相関係数を用いて有意水準は5%とした。【結果】転倒レベルとの相関が認められた筋力は、等尺性膝関節伸展筋力(r=0.401、p<0.05)、および角速度が240deg/secでの足関節背屈筋力(r=0.441、p<0.05)、足関節底屈筋力(r=0.522、p<0.01)であった。【考察】我々は、転倒と下肢筋力の関係を明らかにすることを目的に歩行時の外乱刺激に対する耐容能と下肢の等速度筋力を調べた。その結果、転倒に対する耐容能力が高いものほど下肢筋力が高い傾向が認められ、特に足関節の高速度の筋力との相関が有意に高かった。 この転倒刺激に対する回避反応は、足関節を中心として起こると報告されており(酒井ら、2002)、足関節の早い反応は転倒回避のために重要であると考えられ、我々の結果と一致する。一方、膝関節では等尺性筋力に有意にな相関が認められているが、転倒刺激が加えられた時期は膝の完全伸展期に当たり、等尺性収縮によって膝折れを防いでいるものと考えられ、足関節と膝関節ではその役割が異なることが示唆される。 転倒予防のトレーニングとして太極拳が有効であると報告されているが、太極拳の動きは緩やかであり、さらに大きな効果を上げるためには、特に足関節周りの早い運動のトレーニングを加える必要があるのではないかと示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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