理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP663
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運動学
転倒に対する耐容能力と姿勢制御反応との関連
地域在住中高年者を対象とした検討
*加藤 仁志三上 晃生岡藤 直子大渕 修一柴 喜崇酒井 美園上出 直人
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抄録
【目的】  転倒を再現し,転倒に対する耐容能力と姿勢制御,特に筋の反応について検討することを目的とした.【対象】  K県S市およびZ市市民大学に出席した地域在住の中高年者のうち,研究に対する同意を得られた23名(年齢66.0±5.0歳,男性12名,女性11名)を対象とした.【方法】  転倒は左右の歩行ベルトが分離したトレッドミル(以下,両側分離型トレッドミル,PW-21:日立製作所)を用いて片側のベルトを急激に停止させることで再現した.転倒の定義は両側分離型トレッドミルの手すりに掴まった場合,トレッドミルの安全装置が作動して両側分離型トレッドミルが停止した場合,ハーネスに体重が15kg以上かかった場合とした.2km/hから歩行を開始し,3回の外乱刺激にて転倒しなかった場合は3km/h,4km/h,5km/hと速度を上げていき,3回の外乱刺激のうち1回でも転倒した場合はその場で測定を終了とした.2km/hで歩行不可能であった場合をレベル1,2km/hから5km/hで転倒した場合をそれぞれレベル2からレベル5,5km/hでも転倒しなかった場合をレベル6と段階づけた.対象にハーネスを装着し,両側分離型トレッドミル上を歩行させ,左立脚相に対して500msecの間ベルトを停止させる外乱刺激を任意に3回ずつ与えた.歩行中に左側の腹直筋,脊柱起立筋,内側広筋,大腿二頭筋および両側の前脛骨筋,腓腹筋の表面筋電図をサンプリング周波数1000Hzにて測定した.また荷重センサー式フットスイッチを左踵部に貼り付けた.外乱刺激,筋電計,フットスイッチのデータは同期してパーソナルコンピュータに取り込んだ.筋電図は2km/h歩行時のものを全波整流し,筋の潜時および外乱刺激前後の筋活動パターンをレベル3とレベル5の間で比較検討した.【結果】  レベル1は0名,レベル2は3名,レベル3は5名,レベル4は5名,レベル5は6名,レベル6は4名であった.レベル3と5の間の2km/h歩行時の外乱刺激に対する筋反応の潜時には特異的な傾向は認められなかったが,レベル5はレベル3と比べて,刺激側・非刺激側ともに伸筋群の活動による屈筋群の相反抑制が起こる傾向にあった.【考察】  外乱刺激に対する姿勢制御反応を筋の潜時から比較すると,転倒回避能力の高い者と低い者の間で差が認められなかったが,伸筋群の活動に対する屈筋群の相反抑制という観点から比較すると,転倒回避能力が高い者では前脛骨筋の活動中に下腿三頭筋の相反抑制がみられているものの,低い者では前脛骨筋と下腿三頭筋の同時収縮がみられ,しなやかな転倒回避反応を阻害していることが示唆された.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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