理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DO417
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
初期変形性股関節症患者の歩行解析
*山崎 貴峰久保 秀一松井 知之畠中 泰彦長谷 斉井上 重洋久保 俊一
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抄録
【はじめに】前期、初期の変形性股関節症(以下変股症)患者は、末期変股症患者などと違い極度の跛行などは認めず、その歩行状態は比較的良好である場合が多い。そのため、寛骨臼回転骨切り術(Rotational Acetabular Osteotomy以下RAO)など、変性進行防止目的に行われる手術を拒む患者も少なくない。 今回、我々はRAO施行目的に入院した初期変股症患者の歩行を解析し、術前,術後理学療法の問題点を検討したので報告する。【対象】片側RAO術直前患者(右施行予定4例、左施行予定1例)女性5名(平均年齢38.6±7.8歳、体重55.4±8.7kg、身長157.6±4.4cm)、全例とも初期変股症患者である。また、RAO施行予定側を患側、対側を健側とした。【方法】被検者の体表上(両側の肩峰、大転子、膝関節裂隙、足関節外顆、第5中足骨頭)に赤外線反射マーカーを貼り、床反力計(Kisler;9281B11)を設置した7mの歩行路を自由歩行させた。同時に、左右斜め前方及び後方45度に各2台、正面に1台設置した赤外線カメラにて撮影し、三次元動作解析装置(BTS;ELITE Plus)に取り込み動作解析を行った。測定した歩行データから床反力、関節角度、関節モーメントを計算し健側患側間検討した。さらに、遊脚側の骨盤前方移動量、大腿骨前傾角度についても検討した。検定には2群間に対応のあるT-testを用い、危険率5%で検討した。【結果】床反力、関節モーメントでは一定の傾向を認めなかった。立脚期後期における股関節最大伸展角度は、患側6.6±5.1°,健側12.0±0.7°と患側でより低い傾向を示した。大腿骨前傾角度は、患側82.9±5.1°,健側77.0±3.3°と有意に高値を示し (P<0.05),健側に比べ大腿骨はより垂直であった。また、骨盤の前方移動量は,患側立脚期2.8±1.1cm,健側立脚期4.9±1.7cmと患側立脚期において、遊脚側骨盤移動量は低い傾向を示した。【考察】変股症の初期症状は、関節列隙の狭少化や運動時痛など比較的軽微な変化である。歩容も極度の跛行などはなく、良好である場合が多い。そのため、床反力や関節モーメントの結果からは、一定の傾向を認めなかった。しかし、立脚後期の骨盤と股関節の運動を分析すると、患側立脚期に骨盤の前方移動量の低下傾向,股関節伸展制限傾向を認めた。また、立脚後期の骨盤と股関節の複合した運動である大腿骨前傾角度では、患側は健側に比べ優位に垂直位であった。これらから、その歩行状態はいわゆる「骨盤が引けた状態」であると推察した。 よって、初期変股症患者の歩行であっても、患側は既に跛行を呈しており、RAO術前あるいは術後の後療法においても外転筋トレーニングだけでなく、股関節伸展,回旋の複合的な側面を考慮したアプローチが必要であると考えた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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