理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DO445
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
高齢者に対するアクティブ・アプローチ・コンセプトの効果
大腿骨頚部骨折に対するアプローチ
*筧 重和恒川 俊彦服部 秀次沈 寿代近藤 達也
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抄録
【はじめに】高齢者に対するリハビリテーション(以下リハ)は、介護保険施行後重要となっている。高齢者のリハの目的は、介護予防・自立支援・日常生活の範囲拡大などである。高齢者のリハの方法の1つとして、アクティブ・アプローチ・コンンセプト(以下ACC)がある。ACCは、スリングを用いたスリング・エクササイズ・セラピー(以下SET)、空圧トレーニングマシーンを使用したアプローチにて高齢者リハ行うものである。今回我々は、高齢者大腿骨頚部骨折に対してSETを行う事により、股関節外転可動域拡大に良好な結果を得たので報告する。
【対象】対象は、デイケアに通っている大腿骨頚部骨折既往歴のある5名とした。男性1名、女性4名。70歳代4名、80歳台1名。発症より6ヶ月から1年未満2名、1年以上3名。杖による自立歩行可能1名、介助杖歩行2名、歩行不可2名である。
【方法】今回、インターリハ製スリングを使用しSETにて股関節外転運動を行った。対象者は、背臥位にて両股関節90度屈曲位、膝関節90度屈曲位とした。最初に、このポジションで5分間保持し、その後股関節10度屈曲位、膝関節伸展位にて股関節外転運動を自動運動にて行った。
【結果】SETを使用し股関節外転を行った結果、SETを使用せずに行った場合より、5度から10度の自動運動可動域拡大がみられた。また、股関節外転時の痛みについても軽減された。
【考察】今回、SETを使用し股関節90度屈曲位、膝関節90度屈曲位にて5分間保持することにより、股関節周囲の筋肉をリラクゼーションさせることができ、結果として自動運動による股関節外転運動の拡大につながったのではないかと考る。自動運動を行う場合の阻害因子の1つとして、痛みがある。この痛みを取り除くことは、高齢者のリハを行う上で重要な問題となる。痛みにより、リハに対するモチベーションの低下につながる要因となるからである。また、SETにより股関節10度屈曲位、下肢伸展位にて外転運動を行う時、下肢が少し浮いた状態となり、抗重力位での運動となることからより自動運動を行いやすいポジションであることも考えられる。徒手で股関節外転運動を行うと、自動運動のスピードとタイミングの難しさ、水平移動の難しさがあるが、SETにおいては自分のタイミング、自分のスピード、水平移動が容易となる。これらのことより、高齢者大腿頚部骨折におけるSETは有効ではないかと考える。今後、ACCを行うことにより日常生活の範囲拡大につなげれるか考え、今後の課題として検討したい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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