抄録
【目的】第33・35回本学会にて、外来腰痛症患者のPT効果について報告した。デニスのペインスケール(以下Pスケールとする)を評価指標とし、あわせて自覚的総合評価として、PT施行前と比べ体の調子が良くなったかどうか(以下体調の変化とする)を調査した。今回、さらに症例数を増やしてPT効果を調査した。【対象と方法】対象は、平成8年8月から平成13年7月に整形外科からPT処方が出された、腰部に器質的疾患のない外来腰痛症患者473名中、追跡調査が可能であった115名。男性44名、女性71名、平均年齢36±15歳、平均経過観察期間27±13日であった。 PTは患者に個別に対応し、評価、体操指導とADL指導を行った。 調査項目は、_丸1_PT施行前後のPスケールの変化、_丸2_PT施行前後の体調の変化である。【結果】_丸1_PT施行前後のPスケールの変化は、初診時はP1が3名、P2が62名、P3が42名、P4が8名、P5が0。再診時はP1が40名、P2が64名、P3が10名、P4が0、P5が1名。改善率は、全体が58.3%、P2が40.3%、P3が83.3%、P4が87.5%。P2とP3では、危険率1%レベルで有意の差があった。P2とP4では、危険率5%レベルで有意の差があった。_丸2_PT施行前後の体調の変化は86名が追跡調査可能であった。P1は3名中、改善1名、不変2名、悪化0。P2は47名中、改善40名、不変5名、悪化2名。P3は29名中、改善24名、不変5名、悪化0。P4は7名中、改善5名、不変2名、悪化0。P5は0。改善率は、全体が81.4%、P1が33.3%、P2が85.1%、P3が82.8%、P4が71.4%であった。【考察】Pスケールを評価指標とした改善率は58.3%で、他文献報告例に比べて低かった。なかでもP2の改善率が40.3%と有意に低く、前回の報告と同様に軽症腰痛症患者の治療が困難であった。腰痛の原因がさまざまであることが、その原因であると考える。一方、P3以上の改善率が84%とP2より有意に高いことから、P3以上の重度腰痛症患者には確実に治療の効果を認めた。 体調の変化の改善率は全体で81.4%、Pスケールでは改善率の低いP2でも85.1%であり、他の自己評価を評価指標とした報告とほぼ同様の結果となった。【まとめ】1.Pスケールを指標とした改善率は、全体が58.3%、P2が40.3%、P3が83.3%、P4が87.5%であった。P2の改善率が有意に低かった。2.体調の変化でみると、改善率は81.4%であった。