抄録
百年ほど前に声を失ったオーストラリアの俳優が考案した身体調整法「アレクサンダー・テクニック(AT)」は、声や身体を、無理や無駄なく自然でパワフルに、そして自由に扱うためのテクニックである。既に欧米において、俳優や声楽家、楽器演奏家らにとっては必要不可欠なものとなっているATは、さらに昨今では組織のトップマネジメントや、セラピー的見地からも注目が集まっている。本稿では、能力開発という視点からATの持つ、人を動かす声とバランスの取れた身体の動きという身体機能への作用と、自律神経統制→精神安定→気力充実→前向きに高次元へ挑戦する気概という精神的機能への作用、および他者とのコミュニケーションスキル向上について述べる。