理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: AO020
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主題(科学的根拠に基づく理学療法)
施設利用高齢者に対する転倒刺激付きトレッドミル歩行練習の効果
Randomized Controlled Trialによる分析
*島田 裕之大渕 修一柴 喜崇加倉井 周一矢部 規行太田 雅人藤本 勉
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キーワード: 歩行練習, 高齢者, 転倒刺激
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抄録
【目的】高齢者における転倒予防のための運動介入が種々行なわれてきたが、施設利用高齢者に対する効果的な運動内容は明らかとなっていない。本研究では介護老人保健施設を利用する高齢者を対象として、両側分離型トレッドミルを用いて転倒刺激である滑り様刺激を連続的に加えた歩行練習を行なった。この練習が転倒の危険因子である下肢筋力、バランス機能、歩行機能、反応時間の改善に寄与するかを無作為化比較試験にて検討した。【方法】対象は介護老人保健施設を利用する高齢者32名(年齢66-98歳)であった。対象者を無作為に通常練習群(14名)とトレッドミル練習群(18名)とに分類した。トレッドミル練習群は、通常練習に加え6か月間のトレッドミル歩行練習を行なった。トレッドミル練習は、無作為に片側のベルトが減速する外乱刺激下にて行い、漸増的に歩行速度や減速刺激の負荷を増大させた。全プログラムは600分であり、6ヶ月間で運動が終了するように計画したが、600分に到達しなかった者も6ヶ月間で介入を終了した。練習頻度は週1から3回であった。また、両群ともに実験前に実施していた理学療法は継続して行なった。測定項目は筋力検査として膝伸展と股屈曲の等尺性筋力をハンドヘルドダイナモメーターにて測定した。バランス機能は重心動揺検査、片脚立ち保持時間、Functional Reach Test、Functional Balance Scaleを測定した。重心動揺検査は開眼、閉眼、フォーム上での開眼、フォーム上で閉眼の4条件で行なった。歩行機能は10m歩行速度、Timed Up and Go Test、Dynamic Gait Index、Shuttle Stamina Testを測定した。10m歩行速度、Timed Up and Go Test、Shuttle Stamina Testは、できる限り速く歩くように指示し、検査を実施した。反応時間の測定は、1000Hzの聴覚刺激を行ったときの上肢反応時間を計測した。最初は静止立位にて行い(静止)、次にトレッドミル上で最大歩行速度の50%の速度で歩行を行いながら同様に検査した(歩行)。最後には、最大歩行速度の50%の速度で歩行中に左右片側のベルトを無作為に60%減速させる滑り様刺激を、平均5秒間に1回の割合で加えた状態で歩行しながら検査した(外乱)。統計解析は介入前後の機能を比較するためWilcoxon検定を用いて通常練習群とトレッドミル練習群のそれぞれで分析した。【結果】両群ともに3名が介入後の検査を受けることができなかった。以降の分析は、それらの対象を除いた結果である。トレッドミル練習群は6ヶ月間の介入後に下肢筋力、片脚立ち、Functional Reach Test、10m歩行速度、Timed Up and Go Test、Dynamic Gait Index、反応時間(静止、歩行、外乱)において機能の有意な向上が認められた。一方,通常練習群においては10m歩行速度、Timed Up and Go Test、Shuttle Stamina Testにおいて有意な機能の低下が認められた。【結論】トレッドミルを用いた外乱歩行練習は、施設利用高齢者の下肢筋力、バランス機能、歩行機能、反応時間といった多様な要素の身体機能の改善に有効であった。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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