理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: AO021
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主題(科学的根拠に基づく理学療法)
主観的運動強度における客観的換気パラメータの検証
*佐野 裕子久保 晃畠 しのぶ丸山 仁司
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抄録
【はじめに】今回,正常人に運動トレーニングをする際の処方負荷量の決定に際し,各段階における呼吸困難度が客観的換気パラメータに対し,どのように影響を与えるかを検討した。【対象】対象は本研究の趣旨,内容,被験者への負担などを十分に説明し,同意の得られた健常成人47名(男性28名,女性19名),年齢21.5±4.2歳,身長167.3±8.6cm,体重58.5±10.2kgであった。【方法】トレッドミル(Wood way社製車椅子用トレッドミルSPR-7050)による歩行での運動負荷をおこなった。まず「安静坐位」3分,そしてトレッドミルにて「楽である」「ややきつい」「きつい」と感じる3段階の速度を被験者の身体能力に合わせてあらかじめ被験者自身に決定してもらう。各段階4分間の負荷を設定し,漸増させる合計15分の実験をおこなった。各段階の個人強度は実験に先立ち被験者自身に決めてもらった速度である。呼気ガス分析装置(ミナト医科学社製エアロモニターAE-280S)にてブレスバイブレスで測定し,30秒間ずつの平均値を算出した。安静時においては平均値を代表値とし,各強度では3分から3分半の30秒間を代表値とした。心拍数については心電図モニタ(フクダ電子社製ダイナスコープDS-3300)CM5誘導にて,各強度とも開始3分半経過した時点での値を採用した。実際の運動時の主観的運動強度はBorg scaleを使用し,安静時においては2分半経過時,各強度では開始3分半経過した時点で聴取した。測定項目は体重あたりの酸素摂取量(VO2/W),1回換気量(VT),分時換気量(VE),呼吸数(RR),心拍数(HR)および主観的運動強度(Borg scale)である。【結果】各段階においてVO2/W,VT,VE,RRともに右上がりの直線的増加傾向にあった。Borg scaleにおける各段階の平均値±SDは「安静時」6.7±1.0,「楽である」9.3±1.3,「ややきつい」12.9±1.4,「きつい」15.9±1.8と右上がりの増加傾向を認め,これは主観的運動強度が実際のBorg scaleではそれぞれ「very,very light」,「very light」,「somewhat hard」,「hard」とほぼ対応していた。HRとBorg scaleの関係において主観的運動強度が強くなるにしたがいHRは上昇し,y=8.4x+35.7 r=0.85 p<0.01と相関関係を示した。VO2/WとBorg scaleとの関係においてもy=3.0x‐14.8 r=0.93 p<0.01と相関関係にあった。【考察】一般的にBorg scaleは個人の体力レベルなどを考慮したうえでわかりやすい指標として用いられており,特に運動中のHRとの関係においてはBorg scaleを10倍したものがおおよその運動レベルでのHRに相当すると言われている。今回の実験により主観的運動強度の指標としてBorg scaleは有益といえる。さらにVO2/Wにおいてもひとつの指標となりうることが考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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