理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP133
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
健常者におけるS-P法の施行時間とFFDの関係
*勝浪 省三小林 健二
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キーワード: 上田法, 腰痛, FFD
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抄録
【はじめに】筆者が日常の診療の中で肩-骨盤法(以下S-P法)が腰痛患者に対して効果的で指床間距離(以下FFD)が改善することをしばしば経験する。また、S-P法施行中30秒から1分程の施行で体幹回旋の可動域が改善していく症例がいるという経験よりどの位の治療時間が麻痺のない患者に対して適切かを知る必要性を感じた。そこで、今回は健常者を対象にS-P法を施行し効果判定としてFFDを計測することにより適切な治療時間を模索した結果、若干の知見を得たので報告する。【対 象】対象は強い腰痛を訴えない健常者18名(男性13名、女性5名)、年齢は20歳から48歳である。(7から8割の被験者は軽度の腰痛を有する)【方 法】1. S-P法:変法であるタオル法により施行した。2. FFD:両足部は合わせた状態でベッドの端に立ち前屈する。その時膝伸展位を維持した状態で前屈に力をいれないよう体の重みのみで前屈するよう指示した。3. 施行の実際:まずFFDを計測しS-Pは_丸1_30秒、_丸2_2分、_丸3_3分、_丸4_5分を設定し、_丸1_から_丸4_をそれぞれ左右実施し、_丸1_終了時にFFDを測定しその後各時間ごとに測定した。即ち、30秒を左右行い測定、次に1分半を左右行い測定し、次に1分増やし最後に2分増やすという方法をとった。【結 果】時間別にみたFFD改善の平均は30秒後:3.42cm、2分後:6.19cm、3分後:7.58cm、5分後:8.23cmであった。2分後までの変化は大きかったが、3分から5分ではあまり大きい変化は認めなかった。また、施行中ほとんどの被験者において2分頃より体幹回旋の変化を認め3分過ぎからは大きな変化を認めず、FFDの変化とほぼ一致している。【考 察】通常、上田法は麻痺を有する患者に対し施行し、小児では3分、成人では5分程度を行っているのが一般的である。今回は麻痺を有さない健常者に対しS-P法を実施した結果、FFDが2分までには平均6.19cm改善し、2分から3分では平均1.39cmの改善を認めたが3分から5分では0.42cmの改善しかなかった。また、数名の別の健常者に対し連続して5分のS-P法を施行すると、2分前後より体幹の回旋に大きな変化を認め、研究結果も合わせて2分では短いのではないかと考え、このことにより治療時間としては3分程度が妥当ではないかと考える。ストレッチングの生理学的機序としてはIb抑制が考えられるが2分頃から大きな改善が見られることより何か他の機序が考えられる。今回の研究で麻痺のない健常者に対してS-P法を行い腰臀部の筋緊張低下の可能性を見出せた事は腰痛患者に対するS-P法の治療効果の示唆とすることができ更に治療時間の目安を導き出せたことは有意義であると考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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