抄録
[目的] 骨粗鬆症に対する運動療法の効果をみた報告は多いが、大部分が若年ラットを用いた検討であり、ヒトの病態を考えた場合、老齢ラットでの検討も必須である。ここでは動物モデルの検討を中心に、入院していない患者にも有用と考えられるサプリメントとしてのコラーゲンを想定し、将来的に運動と食事の両療法の併用効果をみるための基礎条件作りを目的とした。[方法] 4週齢及び56週齢Wistar系雌ラット(それぞれ若年及び老年モデルと推定)を用い、予備飼育約2週目に卵巣を摘出し、低タンパク食で飼育し、若年ラットの場合は2週間、老年ラットの場合は4週間コラーゲンを経口投与した。なお、偽手術処置を実施したものをコントロール群として同様の条件で飼育した。コラーゲンは溶液として100, 200及び400mg/kgBWになるように行った。コントロールとしてアルブミンを用いた。投与終了後, 左大腿骨を採取し、骨密度の測定を行った。骨密度の測定は、二重エネルギーX線吸収測定法を用いて、大腿骨の近位部から末端部までを20部位に分割し、それぞれの分割部位の骨密度を測定した。右大腿骨骨端を凍結粉砕し、グアニジン塩酸、EDTA、さらにグアニジン塩酸による三段階に分けてコラーゲンの抽出を行った。コラーゲン量は抗サメコラーゲンβ鎖抗血清を用い、ウエスタンブロッティングにより分析した。[結果及び考察] 若年及び老年ラットにおいて、偽手術処置群に比べ、卵巣摘出処置により骨密度の低下が観察された。若年ラットにおいて、コラーゲン投与により、末端にある海綿骨を多く含む部位で骨密度の有意な増加が認められた。また骨端中のtype1コラーゲンの増加が認められた。老年ラットではコラーゲン投与により、骨密度の平均値が上昇したが,有意差は認められなかった。コラーゲン摂取により、骨に含まれるコラーゲンが増加し、それに伴い骨密度が上昇すると推察された。コラーゲンの機能として骨形成の促進または骨吸収の抑制作用があることが示唆された。骨密度が上昇したことは、コラーゲンを外部から摂取することで骨代謝に影響を与えることを意味し、今後運動時の栄養を考える場合に一つの視点を提供するものと考えている。[まとめ] 骨密度に関して、若年及び老年ラットで同様の傾向を示すことから、今後取り扱い等の面を含め、実験系としては若年の系を優先し、検討していくことが適当と考えられる。現在in vitroでの実験(コラーゲンの骨代謝に対する影響)を計画中である。