理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: AO024
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主題(科学的根拠に基づく理学療法)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者への外来リハビリテーションの効果
systematic overview
*小島 肇柳田 俊次山田 拓実那須 英紀蝶名林 直彦
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抄録

【目的】 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者へのリハビリテーション(リハ)は、短期的効果として運動耐用能・QOLについて確立されてきている。 しかし、リハプログラムの内容・長期効果については議論の多いところである。 そこで、COPD患者に対する外来リハプログラムの長期効果に関して、systematic overviewを試みることにした。【方法】 1992から2002年10月31日までの10年間についてMEDLINEとCochrane Library(CDSR・DARE・CCTR)、ACP Journal Clubを電子的に調べた。 研究デザインはランダム化比較試験(RCT)のみとし、外来患者を対象とした論文を検索した。 検索された論文の質を評価し、妥当な論文のみ採用した。 検索された論文の参考文献についても関連論文がないか調べた。 また、呼吸器疾患とリハに関する主要な臨床雑誌-JAMA・Ann Intern Med・N Engl J Med・Lancet・Chest・Thorax・Eur Respir J・Phy Ther・Arch Phy Med Reh・Physiotherapy-の索引をハンドサーチした。 対象は一秒率70%以下で、安静時酸素飽和度が90%以上の経過が安定した患者で、心疾患がなく運動療法を行ううえで骨関節疾患が問題とならない症例であることとした。 そして、介入後1年時に運動耐用能とQOLをoutcomeとして評価している文献のみを採用した。【結果】 電子的手段によって10件の論文が検索された。 また、これらの参考文献からさらに5件が追加され、合計15件の論文を吟味することにした。 そして論文の質・テーマに合致した4つの文献を最終的に採用した。 これらによると、運動耐用能を6分間歩行テストで調べた3件の論文では対照群に比較して歩行距離が40から90m延長し、統計学的有意な改善を認めたと報告している。 他の1件はShuttle walk testで評価し、同様に外来リハの効果を指摘している。 QOLではSGRQもしくはCRDQを指標とし、4件のうち3件に効果を認めた。【考察】 医療環境が厳しくなるなか、入院期間の抑制などコスト削減が求められている。 COPD患者への呼吸リハも外来が主体となりつつある。 外来では医師・看護師・理学療法士などの専門職が系統だった指導を監視下で行うことが出来ることもリハ効果をあげる上で重要であろう。 COPD患者への呼吸リハは、肺機能の改善は認められないものの運動耐用能・QOLには効果があるといわれるが、外来リハに関しても同様のことが確かめられた。 今後は、一年以上の長期効果を維持・向上するための工夫を含めたプログラムの整理・開発、費用効果分析が必要であろう。【まとめ】 COPD患者への外来リハの長期効果について、過去十年にわたりsystematic overviewを試みた。 採用した4件のRCTsから運動耐用能・QOLに関して効果が認められた。

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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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