理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP666
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
股関節疾患患者におけるハムストリングスの筋力について 第3報
手術前後による比較
*山之内 麻矢弓場 裕之木村 宏市園田 睦
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抄録
【はじめに】立位保持や歩行などの基本動作を行う際、ハムストリングスは抗重力筋として重要な役割を担っている。ハムストリングスは、膝の屈筋としてだけでなく、股関節の伸展、内旋筋としての役割を果たす。膝関節疾患における膝屈曲の筋力への影響については前回、前々回先行研究にて患側かつ180deg/secにて有意な低下が認められた。今回、股関節疾患患者の手術前後でのハムストリングスの筋力の変化を見ることができたため報告する。【対象】鹿児島大学医学部附属病院整形外科に入院中の股関節に障害を有する患者3名で、症例の診断名、術式、術後筋力測定までの期間は次の通りである。症例1:21歳の女性、右特発性大腿骨頭無腐性壊死、大腿骨頭前方回転骨切り術(杉岡式)、術後3週。症例2:66歳の女性、右変形性股関節症、セメントレス全人工股関節置換術(THA)、5週。症例3:52歳の男性、右大腿骨頭無腐性壊死、大腿骨頭置換術(FHA)、3週。【方法】坐位にて被検者に膝の等速性屈伸運動を角速度180 deg/secで5回行わせ、ハムストリングスのピークトルク/体重(%)のベストレコードを用いて、手術前後の比較を行った。測定にはBIODEX MEDICAL SYSTEMS社製BIODEX System3を用いた。【結果】術後のハムストリングスの筋力はピークトルク/体重で、症例1では37%の低下を認めた。症例2、症例3は、それぞれ19%、26%の筋力の増加を認めた。また、術前3症例すべてに認められていた股関節痛は術後には消失した。【考察】症例2、3で筋力の増加が認められたのは、手術により痛みが消失したことで、十分に筋力を発揮できたためと考えられる。症例1で筋力低下が認められた原因として、まず術式と術後の安静期間が考えられる。症例1は大腿骨頭前方回転骨切り術を行っており、2週間のベッド上安静が必要で、積極的なリハプログラムの開始は術後3週からであったために、痛みは消失したものの十分な筋力を発揮できなかったと思われる。症例2、3はともに術式はTHA、FHAで、早期の離床が可能であったため、比較的早期から積極的な筋力増強のための下肢運動を開始でき、また、日常生活においても、大きく活動を制限されなかった。これらの理由から、ハムストリングスの筋力訓練による筋活動だけでなく、立ち上がり動作や歩行による筋活動が得られたため、術後の筋力増加が認められたと考えられる。次に、術後から筋力を測定するまでの期間である。症例1は離床後1週目、症例2、3は離床後3週目に測定しており、十分な筋力増強訓練や立ち上がり、歩行などの基本動作における筋活動を得られたか否かでこのような結果が得られたと思われる。これらのことより、ハムストリングスの術後早期からの筋力増強訓練が重要であることが示唆される。今後症例数を増やし、術式や術後から測定までの期間などを考慮し検討していきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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