理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP599
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
中斜角筋症候群に対するテープ療法
*山田 雄士有川 功
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抄録
【目的】中斜角筋の緊張持続による症状と所見は以下の通りである。1)中斜角筋内Trigger Pointの発火による安静時痛、2)中斜角筋を貫通する肩甲上神経・長胸神経・肩甲背神経の絞扼による棘上筋・棘下筋・三角筋部、前鋸筋部、肩甲挙筋部・菱形筋部の安静時痛、3)中斜角筋貫通神経支配下筋肉群内TrP発火による安静時痛、4)中斜角筋内TrP関連痛領域の筋肉群内TrP発火による安静時痛、5)中斜角筋を貫通する肩甲上神経・長胸神経・肩甲背神経の絞扼による有痛性肩関節屈曲外転制動(以下、肩関節制動)。中斜角筋症候群(以下、 Scalenus Muscle Syndorom = SMS)に対し個別的筋ストレッチング療法(以下、Individual Muscle Stretching = IMS)を最初に施行した結果、全症例にて安静時痛と肩関節制動が消失した事を既に報告した。SMSに対するIMSは症状や所見の消失に絶大な効果と診断的意義がある。IMSは術者が筋緊張や症状と所見の改善を確実に手に感じうるが、術者の時間的・肉体的負担が大きい。我々はこの短所を改善すべくSMSに対し頸椎間歇性電動牽引療法、直線偏光型近赤外線照射療法、個別的筋自己ストレッチング療法を最初の処置として試みた。その結果、上記の治療手技のみの改善率は良好ではないが、残存した症状と所見に対して追加するIMSの時間的・肉体的負担を大幅に軽減できた。今回、SMSに対しテープ療法を最初の処置として実施したので、その治療的価値と位置付けについて検討する。【方法】対象:2002年6月16日から同年8月15日までに、当院外来でSMSと診断された初診患者は71名である(安静時痛31名、肩関節制動40名)。方法:最初の処置として肩関節制動に制動原因筋探索テープ、安静時痛に姿勢反射調整テープを施行した。診断:中斜角筋緊張緩和テスト、中斜角筋触知圧迫テストにて症状と所見が改善するものをSMSとした。【結果】最初の処置としてテープ療法を施行した結果を以下に示す。安静時痛31名:安静時痛消失6名、安静時痛改善25名、安静時痛変化なし0名。肩関節制動40名:肩関節制動消失32名、肩関節制動改善6名、肩関節制動変化なし2名。テープ療法後に残存している安静時痛及び肩関節制動はIMSを追加した結果、全症例の症状と所見が消失した。【考察】1.テープ療法は筋緊張を緩和させる事が出来る。2.中斜角筋は伸展共同運動パターン筋群に属する。患側の伸展共同運動パターン筋群及び健側の屈曲共同運動パターン筋群にテープを貼付する事によりSMSの症状と所見を改善せしめうる。3.SMSは前下方注視しつつ上肢を使用する動作を継続すると症状と所見が発現し再発する傾向がある。従ってSMSを生活習慣病として捉え、中斜角筋緊張の緩和状態を維持させるテープ療法並びに運動療法、生活指導が必要である。【結語】1.テープ療法は術者の負担を軽減でき、治療時間を短縮化できる。2.テープ療法は治療終了後も中斜角筋緊張緩和状態を維持できる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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