理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP758
会議情報

骨・関節疾患(整形外科疾患)
片側下肢肥大症患者の大腿骨骨切り術前後の理学療法
症例報告
*上内 哲男小松 泰喜田中 尚喜矢部 裕一朗伊藤 晴夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】片側肥大症(半側肥大症)とは、片側性の身体の過成長が頭部や四肢の1ヶ所あるいは複数の部位で起こり、非対称な体型を来たすものである。今回我々は、片側下肢肥大症患者の大腿骨骨切りによる脚長差矯正のための入院理学療法と、術後約2年間の定期的フォローアップを経験し良好な結果を得たので報告する。【症例】患者:女性18歳(当時高校3年生)診断名:右下肢片脚肥大症 右臼蓋形成不全現病歴:生下時より右片脚肥大にて脚長差あり平成12年11月当院整形外科初診 主訴:右股関節痛同12月入院、右大腿骨内反骨切り術施行術前評価:身長160cm 体重53kg BMI 20.7棘果長:右85.5cm、左81.5cm 脚長差4.0cm大腿長:右38.5cm、左37.0cm 下腿長:右39.0cm、左37.0cm関節可動域:問題なし 下肢筋力:MMTにて右4、左5独歩可能であったがトレンデレンブルグサイン(+)術後経過:術後翌日より病棟にて筋力強化プログラム開始術後3週より理学療法室にて筋力強化・関節可動域トレーニング、平行棒内歩行トレーニングを開始(免荷)、術後4週から10%PWB、6週で30%、8週で50%、10週で全荷重可となった。術後9週よりプール内水中運動プログラムを開始、術後12週で退院となった。退院時評価:左右とも棘果長81.5cmで脚長差なし。関節可動域:問題なし筋力:右股関節周囲筋3 左下肢4 その他5レベル股関節痛なし 歩行は左ロフストランド杖にて自立4月からの短大入学に備えホームエクセサイズを指導術後6ヶ月:独歩可能 トレンデレンブルグサイン(-)術後1年:右股関節周囲筋筋力4から5レベルに改善術後1年8ヶ月:内固定材を抜釘 関節痛の訴えなしなお、術前および術後およそ6ヶ月毎に床反力計(共和電業製DAPS-1056)を用いた歩行解析を行った。【考察】片側下肢肥大症における整形外科的手術は、成長期における非肥大側の骨延長術が一般的であり、本症例のように成長期を過ぎての大腿骨骨切りによる脚長差矯正の報告は少なく、術前後の理学療法に関しての報告はほとんど見当たらない。本症例は短大入学後の外来通院が困難であった事から退院まではおよそ12週間と長期間の入院となったが、退院時には痛みの訴えもなく、歩行もロフストランド杖にて安定しており、手術および入院理学療法は良好な結果であったと考える。一方で、下肢の脚長差は解消されたものの、退院後の股関節周囲筋の筋力不足および臼蓋形成不全に起因する股関節痛の出現、大腿・下腿長のアンバランスによる膝関節への過度の負担による痛みの発生が懸念されていたが、術後1年で筋力はほぼ正常範囲に回復し、歩容も改善された。術後およそ2年を経過した現在も股・膝関節等の痛みは訴えてはいないものの、今後も継続したフォローアップが必要であると考える。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top