理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP759
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
両側大腿骨頚部骨折症例の検討
*江郷 功起磯野 美奈子山下 満博西辻 一成
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抄録
【はじめに】我が国の平均寿命が延長するにつれ、高齢者の大腿骨頚部骨折(以下FNF)発生件数は増加傾向にある。そのような中で片側のFNF後に反対側の大腿骨頚部にも骨折を生じる症例を経験する。これまで両側大腿骨頚部骨折(以下両側FNF)症例についての報告は少ない。そこで我々は両側FNF症例について検討し、特徴と若干の知見を得たので報告する。【対象と方法】対象は過去7年6ヶ月間に当院で治療、理学療法を行ったFNFのうち、両側FNFを発症し、加療・理学療法を行った6例(女性5例、男性1例)とした。方法は診療録より発症時年齢、反対側骨折までの期間、骨折型、入院期間、歩行レベルの変化、生活場所、骨折場所、既往疾患について調査した。骨折型は大腿骨頚部骨折(内側型)、大腿骨転子部骨折(外側型)に分け、歩行レベルは4段階(屋外自立、屋内自立、介助歩行、歩行不能)に分類した。生活場所は骨折前および転帰を自宅、病院、施設に分類した。骨折場所は屋外、屋内に分けた。既往疾患は骨関節疾患、呼吸器疾患、痴呆などに分類し検討した。【結果】1.発症時年齢:初回骨折は74‐86(平均81.5)歳であり、反対側骨折は78‐89(平均85.2)歳であった。2.反対側骨折までの期間:1年5ヶ月から4年9ヶ月(平均3年3ヶ月)であった。3.骨折型:初回骨折時内側型1例、外側型5例に対し、反対側骨折時は内側型3例、外側型3例であり、同骨折が4例と異骨折が2例であった。4.入院期間:初回骨折時53‐90(平均77.5)日に対し、反対側時は56‐80(平均70.3)日であった。5.歩行レベル:初回骨折前は屋外自立5例、屋内自立1例に対して退院時も同様であった。反対側骨折前は屋外自立3例、屋内自立3例から屋外自立1例、屋内自立4例、介助歩行1例であった。自立していない1例は歩行器監視であった。6.生活場所:初回骨折前は全例自宅であったが、退院時には自宅5例、施設1例となり、反対側骨折前は自宅5例、施設1例から自宅2例、病院3例、施設1例であった。7.骨折場所:初回骨折時は屋外3例、屋内3例から反対側骨折では屋外1例、屋内5例であった。全例とも1人でいる時の転倒であった。歩行中の転倒は屋内で1例認めた。8.既存疾患:骨関節疾患(4例)、痴呆(2例)、呼吸器疾患(2例)が複数例に認められた。1人平均の既存疾患は1.7疾患であった。【考察】当院における両側FNF例では、特徴として5年以内に反対側骨折を発症しており、同型骨折が多かった。また歩行レベルは両側となると退院時は低下を認めるものの、歩行自立はほぼ獲得できることが判明した。屋外までの活動性は期待し難いが屋内レベルは可能であり、そこを初期のゴール設定と考えられた。両側FNF後の転帰では転院が増加しているのは、片側骨折時よりも長期間の加療や理学療法が必要なためと思われた。以上より両側FNFにならない対策の模索が今後の課題として挙げられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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