理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP757
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
片麻痺を有する大腿骨頸部骨折術後の理学療法
*野田 裕太前野 里恵岩田 早苗栗山 信江小林 寿絵足立 徹也
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抄録
【目的】高齢者の大腿骨頸部骨折(頸部骨折)術後においては早期からの歩行訓練が必要であるが、脳血管障害(CVA)の既往のある頸部骨折者術後の理学療法(PT)においては難渋することがある。また、これらのPTの報告は少ない。そこで今回CVAの既往のある頸部骨折者の臨床像を明らかにし、CVAの既往のない頸部骨折者と比較すること、CVAの既往のある頸部骨折者術後のPTについて検討することを目的とした。【対象と方法】1998年1月から2002年9月までに転倒による頸部骨折者で、観血的整復固定術後に当科にてPTを実施した243例である。内訳は男性54例、女性189例、平均年齢77.7±8.7歳、人工骨頭置換術78例、CHS162例、その他3例である。方法は診療記録より後方視的に、CVA発症日、骨折受傷日、PT開始日、退院までの期間、受傷前・退院時の移動能力、PT施行上の問題と対応について調査した。CVAの既往の有無により、CVAなし群とCVA群とに分け、移動能力は歩行自立、歩行介助、車椅子の3群に分けた。統計学的処理はt検定(有意水準5%)とした。【結果】CVAなし群205例(84.4%)、CVA群38例(15.6%)であり、右片麻痺13例、左片麻痺11例、両片麻痺2例、麻痺なし12例、Brunnstrom stage(以下BS)2:1、3:10、4:3、5:9、6:3例であった。26例中24例が麻痺側骨折であった。術後PT開始まで:CVAなし群13.8±9.1日、CVA群11.7±8.4日、PT施行期間:以下同様に40.0±20.6日、46.6±29.4日、入院期間:59.2±22.2日、65.1±29.3日でありいずれも有意差はなかった。退院時の移動能力低下はCVAなし群69例(34%)、CVA群19例(50%)であった。CVA群で歩行介助群、車椅子群への低下が多く、下肢BSに関係なかった。BS5以上では、下肢筋力強化訓練、荷重・歩行訓練を施行し、BS4以下は起立台での立位訓練、動作を通して片麻痺再訓練を施行していた。CVA群のPT施行上の問題は、下肢の随意性・筋力・支持性低下、尖足変形による荷重困難、筋緊張低下による脱臼、疼痛による運動パターン増強であった。対応は矯正力・支持性の高い長短下肢装具への一時的変更、坐位訓練による股関節周囲筋の収縮促通、股関節外転装具装着、物理療法であった。【まとめ】CVA群の50%で移動能力の低下がみられた。術後の筋力低下に加え片麻痺の合併による支持性の低下、内反尖足等がPT施行上の問題となっていた。これらにより通常の筋力強化や荷重訓練の効果は期待できず、麻痺の程度、筋緊張の違いにより訓練内容、装具等が考慮されていた。頸部骨折後のPTは受傷前の移動能力獲得を目標としており、今後早期からPTを開始し訓練効果を図ることで移動能力を向上させたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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