抄録
【目的】脳血管患者の動作能力を予後予測することはリハビリテーションプログラムをより効果的に行う上で重要である。我々は脳血管患者の動作能力を簡便に判定する方法として、ブリッジ動作とADLとの関係について調査し、そして第13回世界理学療法士連盟学会においてブリッジの能力評価は、ADL能力の判定の指標になることを報告した。今回の研究の目的は、脳血管患者の歩行予後予測因子としての、ブリッジ能力評価の有用性を明らかにすることである。【対象】対象は当院とデーター収集の協力を頂いた14施設にて入院加療中の脳卒中片麻痺患者51名、平均年齢69.0歳であった。その内訳は男性25名、女性26名で、左片麻痺25名。右片麻痺26名であった。高次脳機能障害や痴呆、検査を阻害する程の疼痛、関節可動域制限、重度の感覚障害を有す者は除外した。【方法】統計学的処理として重回帰分析を用いた。発症6週の歩行能力を目的変数とし、発症2週の情報を説明変数とした。目的変数の歩行能力は、FIMを用いた。説明変数は各4パターンのブリッジ(1)Simple bridge, (2)Hemi bridge , (3)Cross bridge , (4)single bridgeの能力、(5)年齢、(6)下肢Brunnstrom-recovery-stage(以下BRS)の6項目とした。ブリッジ能力は我々が作成した評価表を使用した。ブリッジパターンの内容はSimple bridge:立膝でのブリッジ、Hemi bridge:非麻痺側は伸展位をとり安静にし麻痺のみでブリッジ、Cross bridge:脚を組んで麻痺側のみでのブリッジ、single bridge:非麻痺側を挙上し麻痺側のみでブリッジの4パターンである。ブリッジ能力は以下の5段階に分類した。Stage1:開始肢位保持不能、Stage2:立膝は可能もブリッジ不能、Stage3:ブリッジ可能も保持不能、Stage4:ブリッジ可能も3秒以上の保持不能、Stage5ブリッジ可能で3秒以上の保持可能。【結果】発症6週目FIM歩行能力=1.269+0.473×BRS+0.320×Simple bridge+ 0.25×Hemi bridge+ 0.28×Cross bridge+ 0.175×single bridge-0.012×年齢と表された。回帰係数のあてはまりは危険率1%以下で有意であり、決定係数のR2は0.650であった。発症後2週目のブリッツジ能力、BRS、年齢は6週目の歩行能力に影響していた.【考察】脳卒中片麻痺患者の予後は発症早期の機能が良好なほど、改善が良好なのは周知のとおりである。しかし予後予測には多くの因子が存在するため判定方法は複雑なものが多く、簡単に行うことは出来ない。発症早期のブリッジ能力評価は、歩行予後予測を可能とする方法の一つであることが示唆された。