理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EO052
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成人中枢神経疾患
慢性期脳卒中片麻痺患者の誘導治療前後における重心動揺について
*益山 大作
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抄録
【はじめに】脳卒中の治療の一概念としては、環境の情報処理をし、いかに正常に近い重心移動を考慮した多様性のある姿勢・動作にて立ち直り反応を誘発してADLを獲得するかが重要である。第23回九州学会にて急性期の入院の場合は重心移動・立ち直り反応に効果を示した。そこで、慢性期の外来・通所の脳卒中片麻痺患者で症例に応じた姿勢・動作による誘導治療前後における重心動揺について若干の比較検討をしたので報告する。 【対象】当院にて誘導治療実施の脳卒中片麻痺患者15例を対象とした。内訳は、男性9例・女性6例で年齢69.53±7.02歳、右片麻痺5例・左片麻痺10例(高次脳機能障害・痴呆を除く)、診断は脳出血6例・脳梗塞9例、下肢ブルンストロームステージはIV 4例・V 9例・VI 2例であった。【方法】静的重心動揺システム(スズケン社製Kenz-Stabilo101)にて測定条件として裸足、開眼にて姿勢保持直後の初期応答を除く30秒間での開眼時静的立位とし、前方1m目線の高さの指標を注視した。評価は治療前と治療後に実施した。治療は各症例の臨床像に応じて実施した。重心動揺のパラメーターは、ア)総軌跡長、イ)外周面積、ウ)単位面積軌跡長、エ)単位時間軌跡長、オ)矩形面積、カ)実効値面積、キ)X軸動揺中心変位、ク)Y軸動揺中心変位に関して、t検定にて比較検討した。【結果】ア)総軌跡長(cm):治療前73.73±24.62治療後60.93±21.88、イ)外周面積(cm2):治療前6.97±3.04治療後4.48±1.87、ウ)単位面積軌跡長(1/cm):治療前11.76±4.02治療後14.38±3.12、エ)単位時間軌跡長(cm/s):治療前2.45±0.82治療後1.90±0.82、オ)矩形面積(cm2):治療前15.18±7.09治療後10.95±6.35、カ)実効値面積(cm2):治療前0.74±0.55治療後0.39±0.16、キ)X軸動揺中心変位(cm):治療前1.4±1.31治療後1.5±1.11、ク)Y軸動揺中心変位(cm):治療前2.95±2.38治療後2.42±1.76治療後、ア)・イ)・エ)・オ)・カ)・ク)については減少を示し、特にイ)(0.02>p)、カ)(0.05>p)は有意差を認めた。【考察】急性期は麻痺側・非麻痺側に二分化された事を両側統合へ修正する目的があり、慢性期は環境適応へのより高度なバランス、支持基底面への対応が要求される。急性期・慢性期の時期を問わず、視覚情報による立位という支持基底面の評価へと置換できると考えられるが、治療前・治療後に実施する事は、反応が維持・波及されているかの目安になると考えられる。【まとめ】A外来・通所(慢性期)脳卒中片麻痺患者15例を対象とした。B誘導治療前後における効果を重心動揺システムにて比較検討した。C治療後において単位面積軌跡長・X軸動揺中心変位以外は減少を示した。D脳卒中の障害部位・臨床像は異なるが、外周面積・実効値面積に有意差を認めた。Eバランス反応と重心動揺の減少に効果を示した。今後より一層の検討を重ねていきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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