理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EO056
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成人中枢神経疾患
6分間歩行テストを用いた脳卒中者の全身持久性の検討
歩行補助具使用例を対象に
*江連 美奈松葉 好子染谷 涼子吉川 奈美子今富 真紀石田 直子西村 淑石田 かおり佐鹿 博信
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抄録
【はじめに】我々は第38回本学会において6分間歩行を用いた運動負荷試験の有用性について報告し、発症後早期の脳卒中者(下肢随意性Br.StageVI・屋内歩行自立)の全身持久性の低下について検討した。今回、対象を下肢随意性Br.StageV以下で6分間歩行が可能な例とし、入院中の全身持久性の現状を評価・検討したので報告する。【対象】2002年4月から同年10月までに当センターに入院した脳卒中者7名(男4、女3)とした。診断名は脳梗塞5名、脳出血2名、障害名は左片麻痺5名、右片麻痺2名、平均年齢は55.4±15.6歳、発症から測定までの期間は平均100.7±24.8病日であった。測定時の下肢随意性はBr.StageIVが5名、Br.StageVが2名で、移動能力は病棟内歩行自立(自立歩行群)が5名、訓練室内は監視歩行だが病棟では車椅子移動(監視歩行群)が2名であった。全例杖とAFOを使用していた。【方法】6分間歩行テストは、自由歩行による2段階の運動負荷試験で、プロトコールは5分間の安静坐位後、患者自身の快適速度での歩行(comfortable gait)を6分間実施した。次に5分間の安静座位後、患者が少し速いと感じる速度(fast gait)での歩行を6分間行い、5分間の安静座位をとり終了とした。呼気ガス、心拍数(HR)の測定はアニマ社製携帯型酸素消費量計AT1100を使用した。得られたV(dot)O2とHRから一次回帰式を求め、その傾きである心拍酸素係数と、HRが100拍/分に対応する酸素摂取量(V(dot)O2100)を求めた。【結果】7名の心拍酸素係数は0.13±0.07、V(dot)O2100は8.3±2.6ml/kg/minで前回対象者や諸家の報告による健常者と比較し有意に低かった。移動能力別で比較すると、自立歩行群で心拍酸素係数は0.14±0.09、V(dot)O2100は9.0±2.9ml/kg/min、監視歩行群で同様に0.12±0.03、6.6±0.6 ml/kg/minと監視歩行群で低い傾向が認められた。また、6分間歩行テストにおける運動強度を6分間の平均V(dot)O2で比較するとcomfortable gaitで7.9±1.8ml/kg/min、fast gaitで8.5±1.6ml/kg/minであり有意差はなかった。しかしHRで見るとcomfortable gaitで95.1±10.3bpm、fast gaitで106.3±11.9bpmであり、fast gaitで有意に高かった。【考察】今回の対象では前回と比較して下肢随意性が低く、歩行獲得までの期間が長いことが予想され、全身持久性の低下につながったと考えられた。さらに歩行自立度により全身持久性に差が認められ、日常生活の活動量の影響も示唆された。運動強度では、今回の対象ではfast gaitの運動遂行に対応する適切な酸素摂取応答が得られなかったと考えられた。他の指標も含め、適切な運動強度を検討していく必要がある。今後症例数を増やし、24時間心拍数測定等で日常生活の活動量を把握し、全身持久性向上のための理学療法プログラムについても検討を加え報告する。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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