抄録
【はじめに】 脳卒中患者が生涯に渡って健やかな生活を送る上でホーム・エクササイズは重要な役割を果たす。そのホーム・エクササイズを行う側、あるいはそれを見守る家族等にとって内容が個別対応していること、バラエティーに富み飽きにくいこと、提示のされ方が分かりやすいこと等が考慮されていなければならない。一方、理学療法士・作業療法士等ホーム・エクササイズ資料を制作し対象者に配布する側にとっては個別対応が可能なことはもとより、資料の制作が容易でかつ所要時間・経費が最小となることも望まれる。我々はこれらの条件を満たすべくパーソナル・コンピューター(以下PC)を用いホーム・エクササイズのアニメーション化、個別対応、CD-ROMによる資料の配布を試みているので紹介したい。【アニメーションとホーム・エクササイズ資料の制作】 エクササイズのアニメーションはMeta creations社のPOSER4をを用いて制作した。人物を黒の線画に灰色の陰影、背景を白地で表現することにより、画面を簡素化し動作を理解しやすくした。アニメーションは各種目ごとに説明書きを添え、Microsoft社のPower Point 2000のファイルに保存した。この中から対象者に合った種目を選び、必要であれば説明書きを変更し、CD-ROMに焼き付け配布する。対象者あるいはその家族等はPC上のPower Pointを起動してこのCD-ROMを利用する。種目数は上肢、下肢、体幹をとり混ぜて背臥位20、腹臥位5、側臥位1、端座位11、立位5の合計42である。【考察】 図や写真等の静止画と比べ、アニメーションやビデオ等の動画では動作が動きとして表現されるため理解が得られやすい。動画内で比較するとビデオはアニメーションに比べ実際の動作を録画するため、リアルだが既製品を用いて個別対応を図るのは難しい。対象者の訓練風景を撮影し個別対応を図る方法もあるが、意図どおりに撮影するのは容易ではない。一方、アニメーションがPCファイル化されていれば、必要なものを選びCD-ROMに焼き付けるだけですみ個別対応は容易である。複雑なアニメーションの制作には時間を要するが、いったん完成すれば、視点を自由に変更し動作のポイントが最もよく表現されている視点からアニメーションを制作することが可能である。また、同じ動作を視点を変えて複数の人物で表現し、同一画面内へ配置すること等も可能となり、表現の多様性に富んでいる。これらのアニメーションを見るためにはPCを必要とするものの、近年一般家庭へのPCの普及は著しくその環境は整いつつあると思われる。今後は種目数を増やし対応可能な対象者の範囲を広げるとともにアニメーションの表現法も検討していく予定である。