理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EO391
会議情報

成人中枢神経疾患
当院における自己訓練指導の紹介
効率的な自己訓練の体系化を目指して
*黒瀬 一郎辛嶋 美佳前田 哲志尾方 英二北野 留美子梅野 裕昭渡邊 亜紀高橋 朋子大西 咲子隈田 美鶴佐藤 浩二衛藤 宏
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抄録
【はじめに】平成14年4月の診療報酬の改定に伴い、今後益々、限られた期間内に最大限の効果を出す工夫が重要と考える。この工夫の1つとしてセラピストによる直接的な訓練に加え、大川らの提唱する自己訓練の実施が重要と考える。当院でも以前より自己訓練指導を行ってきたが、画一的で患者の状態の変化に十分に対応できていない面があった。そこで、より個別性のある指導をチーム全体で行えるよう自己訓練指導について見直しを行った。今回は当院における自己訓練指導の紹介と共にその成果を報告する。【当院における自己訓練の紹介】自己訓練はその目的性から「機能・能力向上型自己訓練(以下、向上型訓練)」と「機能維持型自己訓練(以下、維持型訓練)」に分けられると考える。前者は早期に実用歩行・ADL能力を獲得するため機能・能力面の向上を目的に行い、後者は入院中の麻痺側管理をはじめ退院後の自己管理能力を獲得するよう機能面の維持を目的に行う。また、より個別性のある自己訓練を実施するため、患者の能力レベルを4段階に分け、2つの訓練の目的性をふまえ、その割合及び目標に変更を加える。自己訓練の指導内容は「向上型訓練」「維持型訓練」共に実施肢位で分けている。「向上型訓練」は随意性及び支持性向上訓練、屋内歩行訓練や屋外応用歩行訓練等で構成している。「維持型訓練」は患者自身での痙性及びROMの管理を目的としたストレッチを主体に構成しているが、状態の悪い患者や入院初期の患者に対してはセラピストや病棟スタッフの指導によるポジショニングや動作確認も加えている。患者への指導にあたっては、まず患者のレベルに合わせて必要な訓練項目を選択する。そして、定期的に訓練内容や頻度のチェックを行い、訓練内容の追加・修正を行う。【自己訓練指導の成果】平成14年5月より自己訓練を導入し6ヶ月経過した。この間にCVA患者約60名に対し自己訓練を指導した。その成果として、目標を明確に持った自己訓練の習慣化が全員に認められ、患者・家族からは、日中寝ている時間が減った、体力がついた、痛みや固さが減った、退院に対する不安が減った等の感想が聞かれる。また、印象として訓練の効率化、より早期のADL能力の獲得、活動量の増加等が認められている。【今後の課題とまとめ】自己訓練はセラピストによる直接的な訓練と合わせて実施することで、効率的なアプローチを進めることができ、患者の満足度向上、自宅退院に対する不安軽減等が期待される。課題としては、患者自身による自己訓練が困難な場合があること、病棟スタッフとの指導内容の統一が不十分なこと、セラピスト間で指導能力に差があることが上げられる。今後は他部署との連携を密にとっていくと共に、患者へパンフレット内容の提示等の検討も行い、自己訓練の更なる体系化に向け積極的な指導を行っていきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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