理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EO394
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成人中枢神経疾患
病棟リハにおけるPTの役割
*小川 彰
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抄録
【目的】回復期リハ病棟において重視すべき手段は、ADL能力の向上であると言われている。特に実際の生活では、各行為の自立度に加えその前後に行われる起居・移動動作能力も重要な意味をもつ。今回、そこに着目した評価を行い病棟リハにおけるPTの役割について考察した。【対象】平成14年11月1日の当院回復期リハ病棟入院患者の内、当該病棟料非算定者等を除いた66名。【方法】_丸1_まず66名の食事、整容、更衣、排泄、入浴の病棟での各行為そのものの自立度を評価した。_丸2_次に5項目毎に、その行為が自立している患者の、行為遂行前の起居・移動動作能力を評価した。_丸3_さらにPT室で歩行が監視か自立している患者の、各行為前の病棟での移動能力を評価した。【結果】66名の主疾患は脳血管疾患55名、大腿骨頚部骨折8名、その他3名であった。5種類の各行為自体の自立者は食事52名、整容41名、更衣30名、排泄27名、入浴8名であった。その内各行為前の起居・移動動作も自立しているものは食事27名(51.9%)、整容32名(78%)、更衣30名(100%)、排泄27名(同)、入浴8名(同)であった。ここでの移動自立には車椅子による自立も含まれている。またPT室で歩行が監視か自立している39名の内、食事前の病棟での歩行も監視か自立しているものは83.8%、同様に整容前では68.6%、排泄前では85.2%、入浴前では100%であった。【考察】5種類の各行為の自立度は食事、整容、更衣、排泄、入浴の順で高く、諸氏の報告と一致する。その内、食事と整容ではその行為自体は自立でもその前に行われる起居・移動動作の過程に食事で約5割、整容で約2割の患者が監視や介助を要していた。これらの患者は実生活でベッド上から開始される一連の目的動作としては自立していないことになる。また、食事と整容前の起居・移動動作の自立に約3割の差があることには、食堂と洗面台までの距離の差が影響していることも考えられ、移動動作の応用力や体力へのアプローチの必要性を感じた。一方、更衣、排泄、入浴が自立している患者では、その前の起居・移動動作も全員自立していた。この結果には、3種類の行為そのものの難易度が高いことや移動自立に車椅子での自立も含まれることが関与したと考えられた。そこでPT室で歩行が監視か自立している患者の各行為前の歩行実施率を比較すると、入浴以外で低下していた。以上より病棟リハにおけるPTの役割として、_丸1_獲得された動作が実際の病棟ADLの一部として活用できるか評価を繰返す、_丸2_その動作をADLの中で習慣化すべく他職種に介助法等を具体的に伝達する、_丸3_PTも実際にADL練習を病棟で行いその過程での起居・移動動作のパターン、安全性、効率性を向上させる、_丸4_移動動作の応用力や体力向上、かつ活動範囲拡大のために屋外生活へのアプローチを行う、などが考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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